“不倫をした”という事実のみで判断される

一口に不倫といっても、そういった関係性を結ぶ理由は人によって異なるのでしょう。
「出会う順番が違っただけ、ほんとうに大好きで一緒になりたいから奥さんと別れてほしい」と切に願っている人。不倫という背徳感があるからこそ恋愛を楽しめる人。干渉されたり結婚を求められるのが億劫で、既婚者と付き合うほうが自分にとって都合がいい人。そもそも既婚かどうかは関係なく、自由に関係を持つことこそが恋愛だと思っている人。相手が既婚者だと知らずに付き合ってしまい、既婚の事実をのちに知っても気持ちが抑えられず、ずるずる関係を続けてしまう人など、きっと様々です。

相手の奥さんに不倫がバレた場合、慰謝料を請求されたり、会社に内容証明が届いたりなど、社会的責任を負うわけですが、そのときに不倫をしている理由や自身の恋愛観などは関係なしに、“不倫をした”という事実のみで判断されます。
相手が既婚者だと知らなければその限りではありませんが、あなたは彼が既婚者と知ったうえで関係を続けているため、そういった不倫による責任は避けられません。

あなたが彼に「奥さんと離婚してほしい」と求めていなかろうが、彼には奥さんと子供とは円満でいてほしいと願っていようが、連絡が来たときに応じているだけだろうが、会うたびに毎回セックスをしていなかろうがそんなことは自分の行動を正当化する言い訳にはならず、不倫の代償を払うリスクは彼との関係を続ける限りずっと付き纏います。
なんなら、彼との関係性を終わらせたとしても、彼の奥さんは時効期間を迎えるまでは慰謝料を請求する権利があるため、あなたは想像しているよりもずっと長い期間不安に曝され続けることになるのです。
そういった意味では、決して“大丈夫ではない”でしょうね。

彼との関係に違和感を抱いている証拠

さて、ここまで社会的・経済的な面からお話しさせていただきましたが、あなたの「このままでも大丈夫か」という質問の意図はおそらく他にもあるのでしょう。
「この宙ぶらりんな関係はいつまで続くのか、終わりはあるのか」といった将来への見通し。「こんなことをしている自分ってどうなんだろう」といった、はっきりしない自分への問いかけ。彼からの連絡頻度や態度、そして「彼は私のことをどう思っているのか気になる」という相談の一文から読み取れそうな、彼の自分に対する扱い。そういった範囲の広い「大丈夫なのか」という不安に感じました。

「人生では何が起こるかわからない」という観点で言えば、たとえ恋人がいようが、結婚していようが、何事においても絶対に大丈夫だとは言い切れないでしょう。
ですが、少なくとも不倫関係でなければ、先にお話しした社会的・金銭的な責任についてはもちろんのこと、現在の宙ぶらりんの関係の行く末について彼に言及できる立場にはなれますし、誰かに堂々と相談をして一緒に悩んでもらうことができるのです。
一人きりで抱えなくていい、相手に不満や要求を伝えていい、という意味ではきっと今よりも精神的に大丈夫になれるはず。
どうしても不倫相手という立場では彼に求めてはいけないラインが存在したり、周囲に相談できなかったりするでしょう。
それは恋愛するうえでとてもつらいことなんじゃないかな、とわたしは思うのです。

相談文から察するに、あなたが不倫をしている理由として、「出会う順番が違っただけ、奥さんよりもっと早く出会ってさえいれば」と彼にとっての一番になりたい、もしくは不倫によって生じる背徳感に酔いしれるタイプというよりは、相手が既婚者であることが自分にとって都合のいい部分があるからだと感じたのですが、いかがでしょうか。
でも、「彼が私のことをどう思っているか気になる」と書かれていることから、そこまで割り切れているようにも見えません。
だからといって彼とどうこうなりたいと関係性の発展を求めているわけではなく、なんとなく都合のよい扱いを受けているように感じる、彼との間に上下関係が生まれているように見える、彼の裁量次第であなたの処遇が決まる、といった状況をよしとはしていないのではないでしょうか。

それって、あなた自身が彼との関係性に違和感を抱いている証拠だと思います。
奥さんと離婚してほしいと言わない、結婚を求めない、関係性を深く言及しない、連絡がきたら応じてくれる、というのは既婚者である彼にしてみたらあなたはとても都合のいい存在ですしね。
その事実に気づいてしまったら、たとえ自分にとって都合のいい部分があったとしても、彼と気分よく接すること難しいでしょう。誰だって蔑ろにされてうれしいわけはありませんからね。

不倫を精算するために損得勘定で動いてみて

「7年も続いていて関係性を清算するきっかけがない」と仰っていますが、今抱いている不安や違和感は関係性を清算するきっかけとして十分ではないでしょうか。
あなたが想像しているきっかけというのは、たとえば新たに出会った素敵な男性に夢中になって彼のことがどうでもよくなるとか、彼から今の関係性を終わらせようと持ち掛けられるとか、奥さんにバレて不倫をやめざるを得ないとか、そういった外的要因のことを指しているのかもしれません。

でもね、きっかけって自分でつくるものですから。

7年続いていようが、半年だろうが20年だろうが、時間の長さは何も言い訳にならないのです。ましてや外的要因だって、あなたを突き動かすほど大きなものではない。
自分以外の存在がきっかけを作ってくれるのを待っていたところで、物事は進みませんし、悩みだって解決しないのですから、自分の心をきっかけにしたほうがいい。

「今の関係が最高に楽しい!満たされてる!」とか「彼のことが大好きだから結婚したい!」と言い切れるのなら「それなら相応の覚悟を決めておきましょう」と言うに留めますが、きっとあなたはそうではないはず。

それでも現時点で自分を突き動かすほどのエネルギーが沸かないのなら、せめて損得勘定で物事を考えることをおすすめします。
社会的責任を負うかもしれない不安、彼の奥さんや子供に罪悪感を抱き続ける日々、自分はどうしたらいいかと考える時間は、彼との関係の楽しさに見合うものなのか、一度メリット/デメリットを片っ端から挙げてみてはいかがでしょうか。