息をしているだけで褒められたい、それが人情「夫にやる気を出させる方法」/カレー沢薫

今回のテーマは「夫にやる気を出させる方法」である。
これ以上何かやらせるつもりなのか、と怒られそうなテーマだ。

ひと昔前であれば「共働きなのに家事をしようとしない夫」という構図が一般的であり、少なくとも「そういうイメージ」だったと思う。

しかし今では我々のように「完全に逆」な夫婦も生まれてきているのだ。
つまり我が家は男女平等と多様化をけん引する先進的な家庭であり、私は「家事をしないのは夫」という偏見をぶち壊す開拓者として必要な存在なのだ。

だが、家のことをしてくれないパートナーに悩み、イラついている人がいるのも事実である。

「夫を上手く褒めて家事をやらせる方法」みたいなネット記事に対し「何故『家事』というやって当然のことを褒めてやらなければいけないのか」というお怒りはもはやワンセットと言って良い。

確かに褒めてしまうと、褒めなければやらなくなったり、最悪「やってあげている」という増長を起こす恐れがある。

しかし、パートナーとは敵ではないはずである。
パートナーが家事という面倒なことを機嫌良くやってくれるならそれに越したことはないはずだ。
もし、パートナーに不愉快極まった状態で家事という苦行に挑んで欲しいと思っているならパートナーシップ解消を先に考えた方が良い。

それにネットには「息をしてるだけで褒められたい」と絶叫している人が2兆人ぐらいいるではないか。
息というのはやって当然、出来て当たり前、むしろ息をしないで生きている奴の方を褒めてあげるべきである。
しかし、そんな当たり前のことでも「褒められたい」というのが人情であり、褒められれば嬉しいと感じてしまうものなのだ。

そして褒められれば「これからも息していこう」と思える、つまり生きる気力が生まれるのである。

パートナーが生きる気力を得て悪いということはない、むしろ失って欲しいと思ってるならそれはパート―ナーではなく、ただの敵(かたき)である。

よって褒めてやる気を出させるのは悪いことではない。
当たり前のことに対し、片方だけが「褒め」を得ているというのがフェアではないだけである。

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