「イクメン表彰式」
前にも書いたかもしれないが、先日、我が村で「イクメン表彰式」という、子育てを頑張ったパパに賞状を与えるという催しをやったそうだ。
我が子を育てるという当たり前のことを男がしたというだけで褒め称えるとは、さすが我が村やることがおぞましい、と大変誇らしい気分になった。
だが今改めて考えてみると子育ては実際に大変なことである。
「当たり前なんだから褒めない」というのは母親が子育てを頑張るのは当然、という発想と何ら変わりない。
つまりこの表彰式のダメなところは、一緒に頑張ったであろう妻も一緒に讃えていないことである。
2人まとめて表彰すればお互いモチベーションがあがるし、見る方も納得できて、いいことしかない。
つまり「とっつぁんも かっつぁんもえらい!」というひむかのくろうまCMがベストである。
このように「褒め」つまり「承認」というのは人間にとってとても重要なことである。
人は、苦行自体に対してではなく、それに「見返り」がないことに不満を感じるものなのだ。
我々が「仕事」という苦行に何故耐えられているかというと、長男だからではなく賃金という見返りがあるからだ。
よって「おちんぎんが欲しいんだろう?」という労働という名のブリーフ姿のおじさんに「はひぃぃ」とか言いながら働いているのである。
それがなければやらないし、見返りがないまま強いられ続けると、いつか不満が爆発する。
もちろん見返りというのは現金のことだけではない。
家庭内では現金の代わりに「褒め」や「感謝」が通貨として流通しているのである。
その支払いをしていないなら、いつストライキを起こされても文句は言えないし、辞表という名の離婚届を置いて出ていかれても仕方がない。
しかし褒めれば良いというものではないのだ。
褒め言葉のつもりで「遺伝子の数が石原さとみと同じじゃん!」と言っても、伝わらないばかりか逆に「バカにしているのか」と気分を害されてしまうケースさえある。
つまり、夫にやる気を出させたいなら、褒める、感謝する、それも上手い言い方でなければいけない。
ちなみに私は、以前「女漫画家の旦那なんてヒモ野郎ばかり(個人の感想)なのにカレー沢さんの旦那さんは働いてて偉いって担当が褒めてたよ」と褒め言葉のつもりで言ったら、完全に気分を害されてしまった。
この褒め方で怒るということは「息してて偉い」という称賛も夫は喜ばない可能性が高い。
このように、やる気を出させるには褒める、そして相手がどういう褒め言葉でやる気を出すかという把握することが大事ということである
Text/カレー沢薫
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