見つけないほうがいい「良いギャップ・悪いギャップ」/カレー沢薫

今回のテーマは「結婚後の良いギャップ・悪いギャップ」だ。

オタクにギャップ萌えについて尋ねるとは迂闊としか言いようがない。「命知らず」と言ってもいい。

これは多くのオタクがタバコに火をつけ長い煙を吐いた後「話してもいいけど、長くなるぜ?」と指を鳴らす質問だ。その瞬間、店員が頼んでもいない、ポテトフライを1億人前運んでくる。もちろんドリンクバーつきだ。

いつ場面がファミレスになったかは置いておいて、ギャップというのは、二次元においては本当に大切である。

わかりやすい例で言うと「不良が子猫にミルクをやっていた」「勉強も運動も完璧だが絵が異常に下手」など、意外性で相手のタマを取る手法だ。

今でこそ語彙が「ハーイ」「バブー」「長谷部」しかない私だが(貴様らが忘れてはいけないので言うがゲーム刀剣乱舞のキャラクター「へし切長谷部」のことである)、昔は当然別のキャラに熱を上げていた。

意外と「生涯一人のキャラ、ジャンルを愛しぬくオタク」というのは少ない。

それは当たり前だ。毎年、毎日、新しいアニメ、ゲーム、そしてキャラが生まれる。新しいものは色んな展開がされる。逆に古いものは、だんだん展開がなくなり、公式からの供給がストップし飢餓状態になる。そうなると、資源も人も多い新しい豊かな土地に行きたくなるのは当然だ。

それを「裏切り」「そのまま餓死するのが愛」と主張するものもいるが、それでは自縛すぎるし、世界は核の炎に包まれてしまう。

かと思うと逆に「今さら○○(旬の過ぎたジャンル)にハマってしまった…」と、大軍が去った焼け野原で、クワ一つ持って呆然と立ち尽くしているオタクがいたりするので、オタクの「ジャンル変遷」というのは奥が深い。

しかし、新しい土地に移ったからと言って、前いた土地のことをなかったことにするわけではない。「故郷の村は焼いた」みたいな、過激派でない限りは「今も心に在る」と言った感じなのだ。

つまり何が言いたいかというと「ふーん。で、君は結局二次元キャラ中で誰が一番好きなの?」と聞かれたら「オウフwwwいわゆるストレートな質問キタコレですねwww」と鉄板の返しをした後「金色のコルダの土浦梁太郎」と即答する、ということである。

金色のコルダの土浦梁太郎

一番右の緑髪が土浦です