夫のほうが破滅の才能は上だった「夫婦の健康について」

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 8月は夫の誕生日がある、確か今年で39歳だ。 マジか。出会ったときは26歳だったのに、詐欺じゃねえか、と思ったが、私も35歳になっていたので、夫も「あの時は23だったのに」と法廷で会うアップをしているかもしれない。

 しかも詐欺度においては私の方が高い。夫は年を取った以外は特になにも変わってないが、23歳の私は人生で一番ただれ腐っていた時期な分、化粧や服装、体重などにも気を使っていた。

 現在私はそれら全てを放棄している。
散髪にすら、夫に「そろそろ髪を切った方が良いのではないか」とやんわり「てめえサイババになってんぞ、なんの奇跡起こすつもりだよ」と言われなければいかない。それも3回ぐらい言われないと行かない。

 服装に関しても、先日、己の漫画のキャラクターが書かれたTシャツを着て外出しようとしたら「それで外に出るのか」と言われたので、キンプリのTシャツに着替えて出たほどだ。ソフトオンデマンドですら、ここまで酷いパケ詐欺はないと思う。
ただ、体型に関しては全てにおいて30%ぐらい増量しているので「お得感」を感じてくれているに違いない。

 それに対し、夫は本当に変わらない、毎日見続けているから変化に気付かないだけかもしれないが、私が頭上に輝く「BBA」の称号がこなれて来たのに、夫は未だに「おじさん」と呼ぶのが憚られる佇まいだ。
ちなみに夫は自分の体重を女子のように教えてくれない、おそらく少なすぎて嫌なのだろう。

 しかし、見た目はともかくお互いアラフォーと言って良い年だ。内側いろいろポンコツになってくる時期である。
我々が曲がりなりにも大きなもめ事もなくやってこれたのは「とりあえず健康だったから」と言っても過言ではない。
「健康そう」というのは、褒めどころのない他人の子どもを褒める最後の切り札的存在だったが、中年になるとこれがいかに大事なものだったかわかる。

 ここがGUYされると、あらゆる世界の災厄が飛び出してくるというパンドラの箱だ。気をつけていても避けきれぬのが病気だが、気をつけるにこしたことはないだろう。