思っているより好きかもしれない「私から見た夫」/カレー沢薫

カレー沢薫のカレーなる夫婦生活
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今回のテーマは「私から見た夫」だ。簡単に言うと夫を紹介しろということだ。

夫は私より3つ年上の会社員で、三人兄弟の長男。大人しい方だがコミュ障というわけではない。

怒ったところはあまり見たことがないが、仕事では怒ると本人が言っていたので怒ることもあるらしい。車とビールが好きな人である。

若干尺が余ってしまった気がするので、仕方なく別の話をするが、最近オタク界隈で「年齢制限」という話が話題になった。

話題になったと言っても、私は極力この話を見ないようにしていたので詳しいことは知らない。どう考えても中年オタクの私が見たら腹の立つ話だろうと思ったからだ。

ネット上の腹の立つ話というのは、腹が立ったからと言って、今からそいつをこれからそいつを殴りに行こうかというわけにはいかない。もうこの例えからしてババア過ぎてそりゃ制限されるわと思うが、ネットのムカつく話というのは、本当にムカついただけで終わるので最初から見ないようにしている。

だが見ないようにしていても1日64時間ツイッターをやっていると、大体の概要はわかってしまうものなのだ。

つまり「いい年したババアが十代の二次元キャラに萌えてるなんてキモすぎるので付き合いを拒否する」という話だ、多分。

画面から出てこない男にマジ恋なんて、ババアだろうがガキだろうが全員キモいに決まっているだろう。

誤解を招くといけないが、これはもちろん、二次元の男を好きになると言う趣味を全く理解できない人間から見た場合である。オタク趣味に関わらず、趣味というのは理解できない者から見ると、異端なものであり、ときとしてキモいと感じるものなのだ。

私も先日、夫が1本2万以上するスタッドレスタイヤを買うと聞いて、変態じゃないかと思った。

つまり4本で10万近くなる。それだけあれば私は坂田金時を諦めないで済んだかもしれないのに、それをタイヤ如きに。それともそのタイヤは子安武人の声でしゃべるのか。そう思い夫の車のタイヤに耳をすませたが、何も聞こえてこなかった。ただゴムくせえだけである。

ではオタク全員がキモいと仮定した場合、そこに年齢の差異はあるのかと言われると残念ながら「加州清光超カワイイ」と言っているJKと「長谷っ!ハセッヴェ!コプワァ…(萌えゲロ)」と言ってる34歳だったら、圧倒的後者という名の自分の方がキモい。むしろこれがキモくなかったらキモいの概念から見直さなければならない。

ただそれは年齢ではなく私の面構えの問題なのかもしれないが、どんな趣味でも熱くなりすぎると「良い年をして」と言われてしまうのである。