キモいからこそ…

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話は少し変わるが、先日刀剣乱舞の同人誌即売会に参加した。

私はそこで、へし切長谷部と大典太光世(忘れず言うし残さず言うがゲームのキャラクター)が、公式ゲーム中には存在しない、私が考えたヒロインと恋愛する漫画を描いて売った。

もうこの世界観に無言で吐いている人がいると思うが、それが私の趣味であり、そのイベントは色々細かい違いはあるが、大体似たような趣味の人が集まる場であった。

つまりそこでは私の好きなものばかりが売っているのだ。まさにこの世はでっかい宝島である。

よってこのイベントの前日は楽しみすぎてなかなか眠れないし、朝はどんな老人よりも早く起きる。

年を取ると、新鮮な喜びや驚きというものがドンドン減ってくる。日々単調か、逆にやりたくないことばかりで一日が終わることもざらだ。

そんな中、この年で「夜も眠れない」という楽しみに出会えたのは他ならぬ「私が34年間キモかった」からだ。

むしろよくぞ、ここまでキモくあり通した。褒めたい、自分を褒めたい。

もし十代、二十代の私が「彼氏できたから二次元は卒業」とか「結婚までして二次元とか(笑)」とかふざけたことを抜かしていたら、今の自分のこの大きな喜びもない。吉良吉影からスタンド能力を奪って中年女にしたかのような、つまり吉良吉影と全然関係ない生き物になっていただけだ。

そして今三十代の自分も、このバトンを未来の私につないでいかなければならない。

「50の君へ」

50歳になった私、今恋はしていますか(二次元の男に)

もしかしたら今私が愛している男(二次元の)のことなんてすっかり忘れて、別の男(平面の)と暮らしているかもしれないし、突然ショタに目覚めてレベルファイブの奴隷になっているかもしれませんね。

でも、それでもいい。あなたにはこれからも誰か(二次元)を愛し続けていて欲しい。もう年だし「尊い!」と叫んだ瞬間尿漏れするかもしれないけど、昔だって、萌えのあまり泣いてしまうことがあったでしょう。涙が尿に変わっただけで、本質は何も変わらないのです。あなたのことを笑う人がいるかもしれないけど「ダークソウルおじいちゃん」みたいに80まで続ければ、皆があなたを尊敬するはずです。

その時はネット記事で「今まで落とした男(画面からでてこないやつ)は8000人くらいやな」と言ってやってください。そんな未来のために私も頑張ります。

今私の後ろでアンジェラ・アキが熱唱しているし、私も観客(私)も超泣いている。

逆に夫が私を紹介した場合、「妻はオタクだ」と紹介するかが気になる。

自分が前の職場でもらった寄せ書きの前にねんへしを置かれているのでわかっているとは思うのだが、多分ここまでクソオタとは思っていないはずだ。

だから夫も私が思っている以上に、車とビールが好きな人かもしれない。車にはもっと金をかけているし、ビールも直腸から入れているのかもしれない。

しかし、直腸は良いが、私がガチャ中毒で、夫がカー用品マニアだと我が家は破たんするので、車の方は控えるか、買うにしても子安の声でしゃべるやつにしてほしい。

Text/カレー沢薫

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