「この人にする」と覚悟を決めること

おそらくその嫌悪感の原因は、彼の生き方があまりにも受け身過ぎると感じたからかもしれない。女性から付き合おうと言われたから付き合い、大学を卒業するから就職をし、結婚が重いと感じたら彼女と別れ、親が孫の顔をみたいと言うから婚活している。そのような印象を受けてしまった。

わたしはまるで、この人に降りかかる火の粉を払うためだけに巻き込まれたようだった。そこに、彼の主体性や責任感、覚悟みたいなものが見えなかった。

わたしは自分が、婚活に向けてしっかり内省出来ていると思っていた。でも違った。“安定した収入がある正社員”がいいと思っていたが、実際はたとえ宝クジが当たったとしても、仕事を辞めないような人と結婚したいんだとわかった。そのくらい、意欲を持って仕事をしてる人がいい。

結婚相手の条件としては、見落としがちかもしれないが、結婚したその先を考慮して、どういう価値観の人がいいのかということをクリアにしなければならなかった。己のストライクゾーンの認識の甘さを反省した。わたしがいつも、婚活で一番大切なことは内省だと言っているのは、この出来事がキッカケだ。

当然、彼は決して悪い人ではなかった。ただ単にタイプでなかっただけだ。わたしの内省が足りなかったがために、嫌悪の原因もわからず戸惑い、好きになれない自分を責めたりショックを受けたりした。婚活中、沢山の人達に“妥協をしろ”と言われていた。もしこの人と交際を進めるなら、それは“妥協だ”と思った。でも、本当に妥協なんかしなくてよかった。妥協で結婚なんて相手に大変失礼だし、そんなの続かない。

わたしは、恋愛や結婚で大切なのは意志だと思っている。この人しかいないのではなく、この人にする! と決めることが大事だと思う。だからこそ、覚悟してくれる人と結婚したかった。そこでは妥協してはいけない。完璧な人なんて存在しないけれど、「何か違う」と頭の中で警報が鳴るなら、それを無視してはいけないのではないだろうか。

Text/うろんちゃん

初出:2017.03.22

次回は <筋トレの負荷と恋人は重い方がいい。元婚活アカウント、うろんちゃんの遺言>です。
婚活アカウントとしてTwitterをはじめ、重度のメンヘラモンスターと化した“うろんちゃん”が晴れてご結婚をし、このたびTwitterと同時にAMの連載からも卒業される運びになりました。そこで、最終回はうろんちゃんからAM読者、そして「メンヘラ女子」へのラストメッセージをお届けします