鍵を掛けるのも面倒なほど…

当時はそんなふうに、自転車の鍵すらきちんと掛けないことを棚に上げて、世界を憂いている恋人のことをどうかと思っていたけれど、自分もあまり自転車の鍵を掛けなくなって、気が付きました。

わたしがきちんと鍵を掛けなくなったのは産後のこと。確かに自転車が盗まれにくい仕様のママチャリだということもあるけれど、一番の理由は「鍵を掛けるのが面倒くさい」のです。なぜ「面倒くさい」のかというと、それは仕事や育児で疲れているから。彼もまた、鍵を掛ける手間すら面倒なほどに、疲れていたのでしょう。だからといって、恋人という他人の前で不機嫌剥き出しになっていい理由にはなりませんが、ただ、自転車の鍵を掛けるという当然のことも疎かになるほど、疲れる世の中ってなんなんでしょう。

自転車を買うか、旅行に行くか、それとも貯金をするか……まるで『特別定額給付金』が振り込まれるタイミングを合わせたように届いた住民税の支払い通知を思い出して少しへこんだ気持ちになりましたが、もしも自転車を買い替えるにしても、“盗まれて仕方なく”よりは堂々と“新品にする”という意識で買い替えたほうが気持ちがいい……といいつつも、やっぱり掛けるのが面倒なんですよね、自転車の鍵。まぁどうせママチャリなんて盗む人はいないだろうし……。

Text/大泉りか