年を取ってしまった私も、それほど悪くない

高校生の頃は、5年後、10年後、大人になっている自分を想像することがただひたすら怖かった。このまま、何も大きな目的のない生活が続くのと思うと、恐ろしかった。けれど、それからの私は本当に年を取ってしまって、大人になることがそれほど悪くないということを知った。
今も同じだ。5年後、10年後、もっと大人になっている自分を想像するのが怖い。このまま何も変わらず年を取ってしまうのもなんだか恐ろしいし、とは言え、結婚している自分も子どもがいる自分も、なんだかイメージがわかない。バリバリキャリアを積んで「仕事が生きがいです!」とか言っている自分も、きっと未来に存在しないだろう。
もしかしたら、高校生の頃に想像していた大人のような不安を覚えているだけで、きっとこれからも楽しく過ごせていけるのかもしれない。けど、そんな保障はどこにもないから、ほんの少しだけ怖いと思う。

結局のところ、仕事だってプライベートだって、目の前のことをただひたすらやっていくしかないのだ。目の前のことをひたすらやって、いろいろなことに慣れてきて、そうして進んでいった景色はきっと昔とは違ったものに見えているはずで、そこから自分のできることをできないことを選んだり捨てたりして、自分の人生とか将来を見定めていくしかないのだと思う。

管理職にも専門職にも向いていない。きっと、結婚も出産も向いていない。けれど、このままでい続けることのほうがずっと怖くて、何かしらの形で前に進まなければいけないのだと思う。
5年後、10年後の私は、今の私みたいに「年を取ってしまった私も、それほど悪くないないのかもしれない」と、ちゃんと肯定できるのだろうか。

Text/あたそ

※2018年4月24日に「SOLO」で掲載しました