下っ端社員も悪くない。我々には怒りの発散としてのセックスがあった/中川淳一郎

下っ端会社員というのもいいな、と思ったことがある。それを出張の時に感じ入ったのだ。僕が勤めていた会社は、モーターショーやIT関連の展示会を請け負う会社だった。これら展示会は大阪や福岡でも実施するが、そうなると当然出張となる。

展示会はビジネス向けであれば木曜日と金曜日に行われ、一般向けであれば金曜日から日曜日までやることが多かった。となると、当然泊まりがけになるのだが、本番前夜はステージの台本書き替えやら配布資料の修正業務が発生する。Wordのファイルを修正し、支社かKinko’sにデータを持って行き、必要部数を印刷し直す。

あるいは本番初日、当日の運営状況を見て様々なことが変更となる。するとスタッフ・クライアントに渡す資料も当然バージョンアップさせなくてはならない。となると、初日の夜も修正作業が発生する。実はこの作業が僕は好きだったのだ。この手の作業を任されるのは企画担当部署で一番下っ端の僕と、営業担当で一番下っ端の社員ないしは制作会社の下っ端社員になるからだ。

接待に行く上司と、ホテルで作業する下っ端社員

互いの上司はクライアントの接待のため、夜の街に消えていき「じゃあ、お前ら、頼んだぞ」となる。彼らは一次会は地元の名物料理を出す店に行き、そこからバーやキャバクラへ行き、大騒ぎする。

下っ端営業・下っ端制作会社社員の中には女性もいて、互いに質問しながら、「この部分修正しました」などと同じ場所でコミュニケーションを取りながら2台のパソコンを駆使する必要がある。

どちらかのホテルの部屋で作業をする必要があり、そこでパソコンを並べて仕事をすることになる。上司とクライアントが夜の街に消えていった19時30分頃、我々はコンビニでおにぎり等の軽食やビールを買ってどちらかの部屋に行く。大抵、立場が上の方の部屋がオフィスだ。営業部署と企画部署では営業が上。私のような企画部署と制作会社では私の方が上。

そうした形で作業をするのだが、適宜上司には携帯電話で進捗状況を伝える。上司は宴席でそれらをチェックし、最終GOを出す。そこで支社かKinko’sへ行き、印刷をし、部屋から終了報告をして下っ端二人はビールで乾杯をする。