「別に独身でもよくない?」がズシンとくる。私は結婚したい派の民

世の中には、いわゆる「結婚できない人」と「結婚しない人」がいる。独身であるという点では両方共おんなじだけれど、はかりしれない違いがある。結婚しない民の人は、結婚できない民の人の実情をあんまり把握できていないんじゃないのかと近頃おもう。
ちなみにわたしは「結婚できない人」側の人間だ。その、できない側の人間として、もやもやを一人で語ってみようと思う。

oyumiのイラスト

「結婚」を強制はしていないけど…

これは子どもの頃の話になるけれど、私がハタチを過ぎたくらいから母はよくこう言っていた。

「結婚なんてしなくたっていいからね。するんだったら30過ぎてからで十分。孫もいらないからね」

もともと、うちの家族は恋愛の話題が一切出なかった。恋愛厳禁! っていうわけでもなかった。単に父も母も私も兄貴2人もそういう話題が恥ずかしくて、苦手なだけだったんだと思う(これは少数かもしれないけれど意外とあるあるだと思う)。
そういうわけで、兄貴らがどんな女と付き合っていたのか、そもそも今彼女もいるのか、てか付き合ったことあるのかすらわからない。なんなら両親の馴れ初めすら私はあんましよくわかってない。
「結婚しろ」の圧に苦しんでいる若者たちがSNSにあふれている様子をみていると、このご時世、親から結婚を急かされない強要されないというのはかなり気が楽だ。めんどくさくない親でよかったー。

ところが。私もアラサーの仲間入りをした頃、母に異変が起きた。これは今年入ってからのはなしだ。
以前台湾のユースカルチャーについて語り合うイベントに行ったことがあるんだけど、その日から台湾に興味津々で、あるときリビングに母がいるときに「台湾に住んでみたいなあ〜」なんてぽつりと呟いた。
するとそれを聞いた母が、ボソッと言った。

「じゃあ、台湾の人と一緒にならなくちゃねぇ」

え? 今なんか言った? と聞き返したくなるような唐突さに、私は思わず聞こえないふりをしてしまった。「結婚」という言葉を「一緒になる」って表現でごまかしてる感じがまた逆に心にズキっとくる。母なりの気遣いなんだろうか。

そんでもってまたその数日後。
私がリビングで映画を見ているときに、「いいなあ、こんな部屋に住みたいなあ〜」とこぼした。するとまた母が同じように言うのだ。

「じゃあ、お金持ちの人と一緒にならなくちゃねぇ…」

また同じこと言ってる……(;´Д`)
間違いない。母は娘の結婚を願っているんだ。世の中の親や大人たちが若者に強要するような感じではなくて、「願っている」のだ。
それは多分、母自身がもう61歳であるということと、自分の息子2人は結婚できるタイプではないことを親&女の感で察しているからなんだと思う。自分の子どもは、「できるんだけどしようとしない」側の人間じゃないってことを察しているからこそ、痛切に結婚を願ってしまっているのだ。