上司たちより楽しいことをしよう
大抵はこれでお別れとなるのだが、翌日も同じような作業が発生すると今度は完全に「なんで上司とクライアントは飲み会で楽しんでいるのに、我々下っ端は夜遅くまでこんなに作業をさせられるのだ! しかも残業代も出ないのに!」なんてモードに入っていく。
ここまでの状況に至るともう破れかぶれになり、こんな展開になる。
「ニノミヤ君、一応印刷もできたし、私たちの仕事は終わったわ。あの人たちは今、経費を使って遊びまくっているのに私たちは狭いビジネスホテルの部屋で午前1時になっても仕事をしていた。もう、楽しいことしよう」
「僕もそう思っていました。山川さん、もうそうしましょう!」
こうなるとこの2日間、午前まで仕事を強制された我々が考えることは一つ。一気に全裸になり、脇にあるベッドに入り、濃厚なディープキスをして、若干汗臭いながらもそれも蠱惑的なもの、と捉え、互いの身体を舐め合う。
どうせ上司らは朝3時ぐらいまで帰ってこないからドアをノックされて「おーい、プリントアウトした資料をくれ~」なんてことを言われることはないだろう。我々は挿入して互いに腰を動かしながら「田中(上司)、クソたれ!」「田中、今お前はただクライアントにおべっか使ってるだけだろ!」「私達はアンタより楽しいことしてる!」と互いに怒りながら挿入をし続けるのである。
こうしたことは会社員時代には数回あり、怒りの発散としてのセックスというものも存在したのである。
Text/中川淳一郎
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