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  • 2016.11.05

彼の携帯見たことある?心が疲弊している恋愛に気付けないことについて

AM読者の皆さんは、彼氏の携帯をこっそり覗いたことはありますか?今回は大泉さんが試写会で見た『ガール・オン・ザ・トレイン』で思い出した過去の実体験を基にしたお話。心が疲れる恋愛に気付けている人は数少ないはず…しかし、読み終えたら何か発見があるかもしれませんよ。

呆れつつも、追い詰めてしまったと反省してしまう「覗く行為」

大泉りか 人妻は不倫の夢を見るか?
by Kaique Rocha

 付き合っている人の携帯やパソコンの中身って見たことってありますか?

 わたしは恋人同士はもちろん、夫婦であっても、それぞれのプライバシーは尊重しあうことを信条としているので、今まで一度も見たことはありません。

 ただし、見られたことはあります。「人として、どうなの?」とうっすらと呆れた気持ちを持ちましたが、その一方では、携帯を盗み見させるまでに追い詰めてしまったことを反省もしましたし、「携帯を盗み見る」という行為に代表されるような、自分の中の「衝動」を我慢できない性質は「生き辛いだろうなぁ」とも同情もしました。

 携帯やパソコンの中身を見たことはありませんが、同棲相手が浮気相手に向けて書いた手紙を目にしたことはあります。

 これについては、家を探してて見つけたわけではなく、すでに浮気の事実が明らかになった後、恋人が「向こうとは別れる」というので、わたしはめでたくそれを信じたものの、結局水面下で関係は継続していて、あげく、浮気相手の女性がわたしに「まだ関係は続いています」と連絡をしてくる、という自爆テロを起こしたのです。

 その流れで恋人から相手に送った手紙を、目にする機会が訪れたのでした。

傷つきながらも「なぶり責める」メンタルで…

 その手紙を目にした時に思ったのは「知らない人が書いたみたい」ということです。

 そこに書いてあったのは、熱烈なラブコールでもエロい誘いでもなく、たんなる日常の報告と相手の精神と体調とを思いやる言葉でしたが、だからこそ、恋人はわたしの知らない日々を生きていたことがあからさまに表れていて、ショックを受けました。

 付き合いも長かったし、一緒に住んでいるくらいなので、恋人のことはよく知っていると思っていたけれど、その手紙に書かれている見慣れた字が、まったく違う人が書いたもののように見えました。と同時に、彼と住んでいる家の中にあるすべてのものが、途端によそよそしく感じられました。

 自分が見てきたもの、信じてきたこと、当たり前だと思っていた生活は、いったいなんだったのか――と傷つきつつも、一方では「なにこれ、ウケる!」という気持ちもあり、「読まないで欲しいんだけど」と逆ギレをかまそうとする恋人に向かい、「わたしだって読みたくて読んだわけじゃないんだけどねぇ」と厭味ったらしく返してすぐさま道を塞ぎ、じわじわとなぶり責めるくらいの性格の悪さがあったことは、わたしの救いだったと思っています。

 前書きが長くなってしまいましたが、そんなことを思い出したのは、先日、試写会で『ガール・オン・ザ・トレイン』という映画を見させていただいたからです。サスペンスなので、極力ネタバレはしないように書くように務めますが、あらすじは以下。

 愛する夫と離婚したレイチェルは、心に追った傷を癒すことが出来ずに酒まみれの荒れた生活を送りながらも、通勤電車の窓から見える、見ず知らずの「理想の夫婦」の姿に、別れた夫との幸せだった日々を重ねていた。

 そんなある朝、通勤電車の窓からレイチェルは「理想の夫婦」の妻の不倫現場を目撃する。やがて、その女性は間もなく死体となって発見。唯一の目撃者として、レイチェルに周囲から疑惑の目が向けられることになる――。

 ポーラ・ホーキンス氏による同名ベストセラーを原作とする本作には、3人の女性が登場します。夫の不倫によって離婚に至り、傷ついたレイチェル。レイチェルが「理想の夫婦」とするカップルの妻のミーガン、レイチェルの夫トムを略奪愛したアナ。

 レイチェルからすると、ミーガンもアナも、自分の手からは逃げて行ってしまった幸せを、しっかりとつかんでいるように見えます。けれども、実際にはミーガンもアナも問題を抱えています。しかし、その問題というのは、外からは見えない。

「雲ひとつない晴天」よりも「曇り」が丁度良い恋人との関係

 そもそも恋人との関係は、少し目を曇らせなければ、続いていかないことが多々あります。

 何かがおかしいと思っても携帯やパソコンは見ないこと。言動がおかしくても問い詰めないこと。けれども、そうやって見て見ぬふりは、心を少しずつ蝕んでいくのです。

 しかも、心が蝕まれていることには、なかなか気づかない。

 なぜならば、「幸せ」と「不幸」とを天秤にかけて「幸せ」が勝っていれば、「幸せ」だとするからです。自分でそうジャッジするだけではなく、あなたが不幸であると、都合が悪いと感じる恋人もまた、なだめ、すかして「不幸」から目を背けさせ、「幸せ」を取り繕います。

 そういう意味では、携帯やパソコンを覗く人は、「偽りの幸せ」に甘んじない人だとも言えます。

「幸せ」であってもその裏にある「不幸」に目をつぶらず、排除しようと試みる戦士とも言えるかもしれません。

 もしかして、プライバシーだうんぬんと言いながらも、わたしに携帯を覗く勇気がないのは、その先に、地獄の釜の蓋が開いていることを、無意識に感じ取っているせいでしょうか――
『ガール・オン・ザ・トレイン』は11月18日(金)から全国ロードショーですので、興味のある方はぜひ、劇場へ足を運んでみてください!

Text/大泉りか

次回は<サイぜリヤの高いワインに挑戦する感覚で、憧れのイケメンに挑むのだ>です。
若い人には「サイぜ」の呼び名で人気のあるファミレスの「サイぜリヤ」には一本数千円もする高級ワインが置いてあると言う事実を知っていましたか?お手ごろ価格な商品を提供するお店で少し背伸びをしてみる…これってもしかして「恋愛」でもよくあることではないでしょうか?そこで、今回は結婚記念日に鰻とロシア料理を召し上がった大泉さんの「身の丈感覚」の恋愛癖からみるイケメンの見方のお話です!

ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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