しつこいほどのシグナル

奇しくもこの出来事が、行き過ぎた正気を引き戻してくれることになりました。カワウソはオカルトやスピリチュアル的なものがそこそこ好きで、宗教や信仰を調べるのも好きです。占いも例外ではなく、時折ホロスコープや断易に頼ります。夫と出会ったころも、友達の魔女にホロスコープを見てもらい「100点だよ! 珍しいね」とお墨付きをもらっていました。

また、夫の出身地は偶然にもカワウソの母方一族と同じです。これに喜び、母方の祖母と引き合わせたとき、夫と祖母の誕生日が同じだと分かりました。実はカワウソと母は誕生日が同じなので、カワウソ一族は誕生日に思い入れがあり、この偶然は大いに歓迎されました。他にも色々な偶然の一致があったものの、正気すぎてあまり気に留めていませんでした。
しかしラジオの件で、神か仏か、何者かは分からないけど、しつこいほど「ええから、大丈夫やから」と言われているように感じたのです。

適量スピって現実に立ち向かう

自分に起こった偶然が全て重要なシグナルだとは思わないけれど、これだけ重なると、いい加減納得がいく。お互いに、明らかに縁があるから結婚したのだ。だから、この先の人生が上手くいくとは限らなくても、この結婚そのものに間違いはないんだろう。ある程度の道が見えていて、あと少し何かに背を押してほしいとき、スパイス程度にひとつまみスピると役に立つ。

カワウソの神っぽいものが、大丈夫や! と言っているのが聞こえる……。

もうコツコツ埋めていくToDoリストはない。提出〆切が迫る書類もない。“より良い人生”のための作戦は練った方がいいけど、まだ焦る時じゃないな。

“丈夫”の語源は「心身ともに立派な男」だそうです。心身ともに立派な大男が“大丈夫”だとしたら、大柄で落ち着いた夫は正にそれである。カワウソが散々ビビってガチガチ君になり、クルクル回り、少々スピって勝手に落ち着くまでを見守っていた“大丈夫”は、「しばらくは、ただ楽しく暮らせばいいんじゃない?」と言って、晩酌の用意を始めました。家族を守るつもりで息巻くカワウソの出番は、まだ先のことになりそうです。

(つづく)

Text/カワウソ祭

次回は<意外と大変な「ナシ婚」―型にはまり損ねた話/カワウソの結婚>です。
結婚が決まったら両家顔合わせ、結納、結婚式、披露宴。そんな昔のめんどくさい風習はまだまだ根強いです。やりたくないならナシ婚、地味婚もできるけど、よく考えてみると昔からの習わしには残ってきた意味があります。実際やってみるとそれはそれで面倒なナシ婚。実態はどうなのでしょうか?