女として生き続ける母と
似たくないのに似てしまうところ

舘そらみヨガインストラクターインタビュー

「ママは、いつでも女であり続けている人。私を産んだ後も普通に大学に行き、いっぱい恋をして彼氏を作って、中絶だってした。最近結婚して、2年前に子供も産んだよ」

 ルカちゃんを産みながら普通の青春や恋愛を重ねた母。中絶も繰り返した末、今でも女としての人生を満喫している。
そんな“女”であり続けた母親を見て、“絶対母親のようにはなりたくない”とルカちゃんは誓った。絶対に、「女であることで周りを傷つけたくない」と思っている。
それなのに、どうしても母親と似てしまっているところがある。

「私ね、どうしようもなく恋愛体質なの。連絡返って来ないだけで本当に落ち込むし、とんでもなく一喜一憂しちゃう。生活の全部が、恋愛に左右されちゃう。そこが私の、一番の問題なんだよね」

 似たくない母親と、どうしても似てる部分。今の仕事を始めたのも、実は男性の影響そのものだった。ああ、恋愛体質。

「初めて付き合った彼と結婚しようと思って、昼の仕事を探した。流行ってたしいいかなってヨガを選んで、とりあえず資格取ってみるかってバリへ修行に行ったんだよね」

 高校卒業後、親の勧めで看護学校に入学したものの遊びたい欲求を抑えられず半年で退学。そして、水商売を始めた。その頃出会った彼氏にのめり込み結婚したいと願ったルカちゃんは、昼の職業に切り替えようと職を探し、ヨガインストラクターの道を歩みだした。

「なんとなく始めたのに、“あ、これだ”って思った。そこからすごく変わったと思う。周りにもあんたはヨガに救われたねって言われる。」

 “流行ってるから”でなんとなく始めたヨガ。たった一つのポーズも知らなかったのに、「どうせなら短期間で資格を取りたい」とネットで検索し、バリへ飛んだ。そこで1ヶ月間のヨガ修行を行い、その後更にインドで2ヶ月の修行。そして彼女は生まれ変わった。

「初めて、自分のことを考え出した」 ヨガがくれたきっかけ

舘そらみヨガインストラクターインタビュー

「ヨガのインストラクターは、生徒さんのことを深く考えなくてはいけない。でも他人に興味を持つことって、自分に興味を持ってないと出来ないって気づいたんだよね。そこで初めて、自分って人のことを考え出した」

 なんとなく始めたヨガが、初めて自分と向き合うきっかけをくれた。恋愛体質なことも、母親へのねじれた思いもその時に初めて気が付いた。

「お酒を飲み出したら止まらないところとか、お金遣いが荒いところとか、そういう弱さに向き合い続けてみた。もちろん、ママのこととか彼氏のことも」

 自分の中での母親の存在の大きさに気付き始めた頃、母親から「妊娠した」という連絡が届いた。

「こんなにも辛くてこんなにも頑張ってる時に、どうしてそんなこと聞かされなきゃいけないのかって腹が立った。けど、“いい加減母親とちゃんと向き合え”ってことなんだって思った」

母親の報告と時期を同じくして、ルカちゃんはヨガを始めるきっかけとなった彼氏とも別れた。「女として生きる」母親のようにならないように、男への依存を断ち切ったというのは考えすぎだろうか。ヨガを通して、ルカちゃんは生まれ変わりたかった。

舘そらみヨガインストラクターインタビュー

 そうして考えて考えて、とうとう突破した。

「いっつも悩んでウジウジしてた自分のこと、“なんかダサい!”って思って、“もう悩むのはやめてしまおう!”って決めたの。とりあえず笑顔で過ごすことから始めてみたら、自然にどんどん考え方が変わってきたんだよね」

 そう、「明るすぎてちょっと不思議」な印象を与えていた今のルカちゃんは、そんな努力の結果だった。ルカちゃんは今、明るい自分でいようと絶賛努力中なのだ。
今のルカちゃんになってどれくらい?と聞くと、「んー、2ヶ月くらい?」と返ってきた。2ヶ月かよ!