女の友情って「ムカツクけど関係は切れない」って感じじゃない?/峰なゆか✕島本理生

2011年から「週刊SPA!」(扶桑社)で連載されてきた、峰なゆかさんの4コマ漫画『アラサーちゃん』。アラサー世代の恋愛やSEX事情を赤裸々に描いてきた8年にもわたる連載がついに先月終了し、11月20日に最終巻である7巻が発売されました。AMでは『アラサーちゃん』の完結を記念し、対談を敢行。作者の峰さんと、今年10月に最新刊「夜はおしまい」を発表した島本理生さんを迎え、互いの作品に対する感想や女性の生き方について話していただきました。

本音が凝縮されていく『アラサーちゃん』

峰なゆか×島本理生『アラサーちゃん』完結記念対談レポート

――『アラサーちゃん』の連載を終えて、峰さんの今の心境をお聞かせください。

峰なゆか(以下、峰)

そうですね、本当に毎週毎週、何本もオチを考えなくていいのが最高です! 地獄って色んな種類のものがあると思うんですけど、その中の1つに10年くらいいた感じです(笑)

――毎週4コマ数本というのは本当にすごいと思います…。お疲れさまでした! 
島本さんは『アラサーちゃん』をどんな風に読んでいましたか?

島本理生(以下、島本)

1巻が出てすぐの頃に、同年代の女友達が「『アラサーちゃん』が今、面白いよ!」って教えてくれて、それからずっと拝読していました。
1巻から改めて読み返していると、最終巻にはフェミニズムのことがすごく入ってきたりと、時の流れと共に題材も変化していますよね。
最初はオシャレ漫画系なのかと思いきや、途中から人間関係がカオスになってきて…。ただ私はカオスになればなるほど、普段言えない男女の本音が満載で、毎回心に刺さる名場面があるなと思いながら読んでいました。

アラサーちゃんとゆるふわちゃんの友情

峰なゆか×島本理生『アラサーちゃん』完結記念対談レポート

――特に印象的なシーンはありましたか?

島本

特に印象的だったのは、アラサーちゃんとゆるふわちゃんの不思議な友情ですね。
お互いに相手を好きな男性に片思い、ていう危うい関係性をはらみながらも、突然すごくハッとするような友情の場面が必ずあるんですよね。
それって峰さんはどういう距離感で描いているんだろう?と思っていました。

私は割と女の友情のスタンダードな形って、あんな感じなんじゃないかと思っていて…恋愛もそうだと思うけど、「1つも文句がないです」みたいな状態よりかは、「ムカつくけど、しかし関係は切れないんだなコレが」みたい関係の方が続くし、だいたいみんなそっちになりがちなんじゃないかと。
あと、描き始めた頃に女の友情がドロドロしていると言われるのがすごく嫌で。

男同士は「お前ムカつくんだよ!」とか言っても割と「おいおい、なんだよ」で済むけど、女同士は陰でコソコソ悪口を言うみたいな風潮があるじゃないですか。
でも陰でコソコソ悪口を言っていたとしても、仲が良かったりするんですよね。

島本

女性同士の友情はドロドロしているっていうのも、果たしてそうなのかな?という疑問があって。
なんなら男性同士だって表面的には褒め合っていても頭上に嫉妬が渦巻いていることがあるじゃないですか。逆に男性は、おおっぴらに悪口を言えないみたいな意識が強すぎて、“女性同士はなんでそんな簡単に悪口が言えるんだろう”、“きっとドロドロしているに違いない”と思うのかな。

そういう男性と女性がお互いに全然分かっていないところ、無自覚なところを的確に表現されているのが『アラサーちゃん』のすごいところだなって思いますね。

最終巻にもオラオラくんと文系くんが殴り合って、結局分かり合えない場面があるんですけど、対等に殴り合えるパターンの方が絶対少ない。

島本

じつは私も女友達に嘘をついて、叩かれたことがあります(笑)でもその後、友情が復活して仲良くなったので、腹を割った後は女同士の方が意外とサッパリしているかもしれないです。

え!場所はどちらで叩かれたんですか!?(笑)

島本

カラオケボックスです(笑)深夜3時くらいの…。