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  • 2018.01.12

20歳のインフルエンサー妹尾ユウカインタビュー 私たちはこれからも彼女の毒とズルさに踊らされ続ける

「他人なんてどうでもいい」と語る20歳のインフルエンサー妹尾ユウカさん。世間が求める毒っ気たっぷりで、強くてズルい女である。しかし、急に顔を覗かせた彼女の本音は・・・。脚本家・舘そらみが本気なやつらにインタビューする本企画、今回は妹尾ユウカさんに迫ります。

「嫌なやつだなー」と何度も思った取材だった。その不快感の正体は、少し嫉妬も混じっていたかもしれない。

 普通と少し違う人生を走るアンダー25を追う「12人のイナセなわたしたち」第7回は、20歳にしてTwitterフォロワー数55,000人を超えるインフルエンサー、妹尾ユウカちゃんに話を聞いた。彼女はなんとも強い女だった。

 連載初の、顔出し・実名でのインタビュー。強い女は、ズルかったよ!ズルイ女が勝つ時代、ズルイ女は、高笑っていたよ!

12人のいなせなわたしたち第7回:妹尾ハルカさんの画像

ユウカ、20歳インフルエンサーの場合

 真冬でありながら、露出度高めの服を着てユウカちゃんは現れた。固いその表情から、人に心を許す気がないのがアリアリとわかる。そして口を開くと、笑ってしまうほどにあくが強かった。


「は?めんどくさいこと言う人ですねー笑 なんですかそれ」

 高飛車な笑顔を浮かべなからそう言った。
出会ってまだ1分足らず、「なんて名前で呼ばれたら一番心許しやすい?」と私が聞いた時だった。
そんな答え方をしなくても・・・!一瞬で人を不快にさせる能力がすごい。

12人のいなせなわたしたち第7回:妹尾ハルカさんの画像

「成人式なんて行かないですよ。今更中学の同級生に会いたいとか、そんなこと言ってる奴は嘘つきですよね・・・え、行く必要あります?笑」

 ・・・毒が多い。「成人式は行かない」だけでいいのに、どうしてこんなに毒っ気たっぷりに言うんだろう。
毒っ気ある発言でWEB上で話題になっている彼女は、実際に会ってもあまりにも毒っ気たっぷりで、攻撃力が高かった。

「かわいいね」「その年でそんなにはっきり考え持ってるのすごいね」と褒め言葉を連発するカメラマンにはものすごくいい態度を取りながら、ユウカちゃんは毒を吐き続けた。カメラマン以外の人間に向ける顔は、あまりにも人を小馬鹿にしながら。

ハシャイでる人間は、尊重する必要などない

12人のいなせなわたしたち第7回:妹尾ハルカさんの画像

 転勤族でシングルマザーの母親に育てられたユウカちゃんは、あまり友達を作らず幼少期を過ごした。そして高校時代、なんとなく始めたtwitterで大きな支持を受けるようになる。


「思ってることをただ呟いただけですね。人を見下すことは得意なんで。みんなも同じようなこと思ってたってことじゃないですか」

 リムジンに乗ってハシャいでいる女たちのことをディスったツイートが、大きな話題になるきっかけだった。
現役高校生でありながら人を斬るユウカちゃんの呟きは評価され続け、高校3年の時にはコラムの依頼が来た。そして今、コラムやMC業で生活をしている。インタビューの日には、Yahoo!ニュースのトップにまで載っていた。


「こういうの大好きなんですよ。香ばしいっすねー」

 ちょうど私たちの横で、女の子2人が自撮りを始めた。
何度も撮り直すその子たちの様子を見て、文字通り「ニヤリ」とユウカちゃんは笑った。“香ばしい”とは、ユウカちゃんのディスり用語。ハシャイでるセンサーが発動され、彼女は心底バカにした笑みを浮かべた。

12人のいなせなわたしたち第7回:妹尾ハルカさんの画像

「マジ身の程も分からずハシャいでる奴ら腹立つんすよね。一番腹立つのは、店でバースデーソング歌う奴ら。てめーの誕生日もこっちにとっては単なる平日なんだからっていう」

 私は、嫌な気持ちになってしまっていた。あまりの人の悪意に触れて、嫌な気持ちになっていた。


「だって知らない人とかどうでもよくないっすか?ここにいる人たちがもし今暴走車に轢かれても、なんとも思わないっすね」

 ユウカちゃんは、軽い口調で続ける。


「自分には関係ないんで、どうでもいいです。どっかとどっかの国の戦争とかも、したけりゃ勝手にやってもらって」

 もしかしたら誰もの深層心理に「自分に関係ない人はどうでもいい」という思いはあるかもしれない。そのことを堂々と言うユウカちゃんは、すごく強いのかもしれない。

 でも私は、目の前の楽しそうな人々を一緒に見ている人間として、「こいつらはどうでもいい」という発言は、聞いてて悲しかった。
思わず、「でもさー、ハシャいでる人を尊重したりするのはいかが?」なんて放った。


「ハシャいでる奴らを尊重できるポイントなくないですか?だって目障りじゃないですか?何を尊重すればいいんですかね?笑」

「いやお前こそハシャギまくってるからな!」とギャグ口調でユウカちゃんに伝えてみる。
真冬にノースリーブを着て、頻繁に化粧直しをして、インスタ映えするようなお店を熟知しているあなたは、調子に乗っていませんか?と。そう言ってみたら、ユウカちゃんは条件反射のような笑い声をあげたあと、反論するでもなく不満げにそっぽを向いた。え?そんな反応あります?と驚いていると、横を向いたまま続けた。


12人のいなせなわたしたち第7回:妹尾ハルカさんの画像

「私、何やっても成功するんですよ。ずっと成功してきたし、これからもそうだって実感があるから焦ったりしない。それが問題なんですけどね。私っておかしいんですよね」

 感じたことを総称すると、なんだこいつは中2か、だった。

 周りのもの全てを敵かのようにバカにして、自分は人とは違う、と言い続ける。「私っておかしいですよね」「変ですよね」という言葉がものすごく嬉しそうだ。中2じゃねーか。

12人のいなせなわたしたち第7回:妹尾ハルカさんの画像

お前誰だ?現れたのは、とても柔軟で聡明な彼女

 カフェから飲み屋へと場所を変え、キレられるのを覚悟で満を辞して言ってみた。ユウカちゃんは今のところ、自分の予想外の質問や意見を言われると、露骨に嫌そうな顔をしていたから、言葉を選びつつ。


12人のいなせなわたしたち第7回:妹尾ハルカさんの画像

 ハシャイでる人を見ても私は腹が立ったりしないこと。他人を小馬鹿にしたくならないこと、店で他人のハッピーバースデーが始まったら喜んで見守ること。合間に挟まれる「え?絶対嘘ですよ、偽善者ですか?」というディスりに、普通のトーンで何度も伝えた。

「いや、私はマジなんだ。だから、あなたがなぜそんなに人をバカにするのか、知りたい。わからない」と。


「いや嘘ですよね、何? 説教っすか?」

 私のマジトーンを何度もバカにし「いやいやいや」と意に介してくれない。「誰もが本当は他人をバカにしている」と譲らないユウカちゃんに、なんとか違う人間がいることを伝えたくて、「私はマジなんだ」と繰り返した。そんなやりとりがしばらく続くと、ユウカちゃんはサラッと驚くことを言った。


12人のいなせなわたしたち第7回:妹尾ハルカさんの画像

「確かに、ハシャいでる人にだって何か理由はあるんですよねきっと。物事ってなんだってそうなんですよね」

 お前、誰だよ!笑 驚くほどに柔軟な発言が始まった。「そうやって人を受け入れることが、大人なのかもしれないですね」なんて、私を尊重する発言さえ続いた。いやマジで、お前誰だよ!笑

 自分の発言に自分自身でエンジンがかかったのか、これまでの女王様モードから一転、ものすごく身のある話が始まった。急激に、誠実な口調で。


「散々人に嫌われるし叩かれるけど、気にはしない。気にして自分を変えても、絶対うまくいかないって、経験で知ったからだと思います。だからもう、人には媚びないんです」

 ユウカちゃんは、自分の思いを表現する言葉をたどたどしく選んでいく。
どういう思いで文章を世に発信しているのか、はたまた今のユウカちゃんはどう出来上がったのか、なんてことを、ユウカちゃん自身が自分と向き合いながら答えを探し出した。


「人に媚びなくなったとき、すごく自分が強くなった気がして生きやすくなったんです。だから私は、人の言うことを気にするなってことを人に伝えたいんだと思います」

 放つ言葉が完全に変わったのがわかるだろうか。
それまでは、他人のことばかり話し、ただただディスり続けていた。「私はここまで到達したのよ」と鼻にかけたような模範解答を、繰り広げていただけだった。

 でも一転、彼女はすごく考えながら話すようになり、言葉に揺らぎが出て来た。迷いながら、言葉を選びながら、自分の言葉で自分の考えを語り始めた。そこに現れたのは、すごく柔軟で聡明な人間だった。

 きっと、私の異論が“ものすごく予想外”だった、からであろう。彼女はきっと、彼女の言葉に異論を唱える人にあまり慣れていない。全力ではねのけている、とも言えるかもしれない。

 事実、軽く異論を唱えた時は、拒否反応のように「は?」と言い見下した笑いを向けた。「絶対嘘ですよ」「説教ですか?」「本心は違うと思いますよ」と、こっちの意見に全く耳を貸そうとしなかった。
でも、こっちがはっきりと異論を唱えたら、彼女は柔軟になった。そして、私を信頼してくれた。

 今彼女を取り巻く人々は、彼女の毒を面白がるイエスマンばかりなんだと思った。彼女をこうしたのは、周りの大人なような気がしてきた。


12人のいなせなわたしたち第7回:妹尾ハルカさんの画像

彼女が強い女になったワケ

 16歳でtwitterを始め、いつの間にか何万人に支持され、発言する度にSNSの中で騒がれた。今も20歳でありながら、名指しの仕事が後を絶たない。
若い彼女にとって、世の中はあまりにもちょろく、あっけなく見えただろう。

 本来なら16歳の子が発信するディスりなんて、たしなめられることがあったとしてもチヤホヤされることではない。
「世の中くだらねーな」の一時期の思いは自然に消えていくはずなのに、あまりにも能力の高い彼女はあまりにもそれをうまく行い、大人から求められるほどになってしまった。
彼女は、それにしっかり答えたのだろう。答えてきたからこそ、今の彼女になったのだろう。

 ハシャイでる人間を斬ることが評価されるのだから、その刀をいつでも華麗に振り下ろせるように、日頃から刀を研ぎまくっているのではないだろうか。発言が評価され、もっと毒を磨き、発言を繰り広げる。

「元々私は人をバカにするのが得意ですから」と彼女は言うけれど、何を口に出すかで考え方や性格なんていくらでも変わる。その結果が、今の彼女じゃないだろうか。
元々そうだったとしても、さらに毒を吐きまくることで、自然に毒が出てくるような考え方や生き方を彼女は自然に選び抜いている気がする。

 そうしてどんどん発言は研ぎ澄まされ、より「求められる」人間像が確立されていく。「私は媚びない」と連発するが、「媚びない女ブランド」が求められていることを心底わかっている。

 セルフプロデュースが見事か。SNS時代の申し子か。

 強い言葉や思い切った行動が持てはやされる時代。
尖る彼女を求める声は、後を絶たない。事実今、書籍販売の動きもあるし、来年には下着ブランドを立ち上げるという。彼女のファンは増えるばかりだ。

12人のいなせなわたしたち第7回:妹尾ハルカさんの画像

 だから‥もう老婆心ながら‥言いたいことがある‥どうか、もっと広い世界を見て欲しい。媚びない、毒の強いあなたを演じること以上のことを‥。それは1日共に過ごし、「この人はズルイなー」と感じてしまった私だから言いたい。


「別に、人に好かれようとか思わないんで」

 と、ユウカちゃんは何度も繰り返した。

 すごい強さだと思うんだ、でも、あなたが人に好かれようとしないことで周りはかなり気を使ってるぜ?と私は思う。あんなにもひどい態度を取られ、あんなにも非社交的な態度を取られたら、相手は頑張る。
「目の前の人との時間をいいものにしたい」っていう社交性を発揮する。いつ・何によって機嫌を損ねるかわからないあなたのことを、見下されながらも気遣ってるぜ?
「そうしたいからそうしてるんでしょ」と言われればそれまでだけれど、ユウカちゃんの「媚びない」は相手の優しさの上に立脚しているように見えた。


「私、結局興味持たれるし認められるんですよね。私みたいな人間気持ち良いからじゃないですか」

 色んな人の気遣いで成り立ってるのに、見下した笑いを繰り出すのは、ズルイと思った。媚びないことと、「ありのままの自分を押し付ける」ことはきっと違う。人に気遣いながらも媚びずに生きる方法を、彼女なら見つけられる気がした。

 どうか、「もっと毒を!」と求められることに答える人生で、終わってほしくないと思った。

 この願いは、彼女の生き方への嫉妬も混じっているのだろうか。だからこんなにも違和感を感じてしまうのだろうか。100%否定もできない私も、彼女の強い言葉に踊らされているのかもしれない。


12人のいなせなわたしたち第7回:妹尾ハルカさんの画像

 冬の東京。笑ってしまうほどの自信に溢れ、人をけなしまくる少女がいた。
強い言葉を放ったもん勝ち、思い切った行動をしたもん勝ちのこの世の中で、強い強い言葉を放つ20歳の少女は、これからも成功していく気しかしなかった。
そしてこれからも強い言葉を放つほどに、彼女の考えは尖っていくだろう。

 彼女の強さは眩しく、同時にとても傷ついた。
ねえ世の中よ、この子を産みだしたことを、どう思いますか。この子に踊らされていることを、どう思いますか。

 我々は、どんな世界に生きているのだろう。なんてな。
自分の意にそぐわない人間をディスることが強さと言われる時代に、人間的なヤワさはどこに行くんだろう。なんてな。

 あなたは、強さと優しさ、どんなバランスで生きていますか。一体何が、正解なのでしょうか。


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Text/舘そらみ

ライタープロフィール

舘そらみ
脚本家・俳優。1984年神奈川県生まれ、トルコ・中米育ち。映画「私たちのハァハァ」の脚本を執筆。Twitter:@_sorami
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