パンダ号に揺られ、たどり着いたのはトロピカルな雰囲気漂う「純喫茶まるき」

大切に育てられた洋ランたちに囲まれて過ごすひと時

 想像以上に被害が大きかった台風にヒヤヒヤした週でしたが、こちらをご覧の皆さまはお怪我などされませんでしたか? ご無事を祈るばかりです。
まだ蒸し暑い日々が続いておりますが、それもきっとまもなく終わり、秋の虫の声が聞こえてきたならば、過ぎ去った夏を思ってほんの少しさみしくなったりもするのでしょう。

 さて、「ただ1軒の純喫茶だけを目的に旅に出ることがあるのですか?」と聞かれることがたまにあります。
その回答はもちろん「はい」で、私にとって純喫茶を訪れることは旅の一番の目的であることが多いのですが、人によっては不思議に思うようです。しかし、長時間の待ち時間を伴ってでも大変賑わうアトラクションのある「夢の国」を目当てに前日から楽しみに準備している人たちと同じで、私にとっては憧れの純喫茶はまさに「夢の場所」なのです。

 8月に発売された『クリームソーダ 純喫茶めぐり』の取材のおかげで、今年もいくつもの新たな土地に出掛けることができました。そのうちの一つが和歌山有田市の箕島。前日も取材で大阪にいたため、新大阪駅から「特急くろしお」で向かうことにしたのですが、ホームに滑り込んできた列車が見えた時にこの日の運の良さに感謝しました。というのは、一日に数本しか運行していない「パンダ号」が見えたからです。

純喫茶まるき

 車体や扉にはパンダたちの写真がラッピングされ、それぞれの座席背もたれの頭部シートには、にっこりと笑うパンダのイラストが。なんとも幸先の良いスタートで目的地へ。

純喫茶まるき

 下車してしまうのが惜しくなるほど車内を楽しんだ後、箕島の改札を出てすぐ視界に入ったのが「まるき食堂」。その斜め前にある「純喫茶まるき」は、光がふんだんに差し込む大きくかたどられた四角い窓が印象的でした。

純喫茶まるき

 店内は様々な種類の花や植物たちであふれ、どこかトロピカルな雰囲気を醸し出しています。

純喫茶まるき
純喫茶まるき

 それはマスター夫妻の共通の趣味で、屋上の温室にて育てられているという洋ランや多数の押し花作品が飾られていることによるものでした。
実は奥様は最優秀賞として数えきれないほど表彰されたこともあるという専門家で、近隣の人たちに向けて「押し花教室」を開いているそう。

純喫茶まるき

 開放感のある店内でオムライスやカレー、クリームソーダを頂きながら、のんびり過ごしているとすっかり南の島へやってきたようなおおらかな気持ちに。

純喫茶まるき
純喫茶まるき