この人間関係をどうやって維持すればいいのか

私はこれからの人生において、「地元の友達」「10年来の親友」「腐れ縁の仲間」みたいなものが一切登場しなくなるんだ、ということについこの間気が付いた。その選択がいいとか悪いとかではなくて、私の人生のうちでずっと重要な登場人物だった人は誰もいないし、遠い過去から現在にかけての私を知っている人もいないということになる。
もしかしたら、昔からお互いのことを知っている人というのが、私にとってかけがえのない存在かもしれないのに、私にはそれを確かめる術がない。なんだか気づかないうちにとてつもなく大きな財産のようなものを、どこかに置いてきてしまったような気がした。

以前にも、大学時代の友達に対して「ああ、疎遠になるかもしれないな」と思ったことがあって、そのことを共通の友達に話すと、「あんた、あんなに優しい子に愛想つかされて疎遠になったら人として終わりだよ!」と言われたことがある。

そうだ、そうなんだ。いい人たちで、恐らく今後も大切にしたほうがよさそうで、たとえば私が多額の借金を抱えたとか何かの拍子に事件に巻き込まれてしまったとか、そういうときに一番に助けてくれる人たちだってこともわかっている。
けれど、どうやって興味を持ち続ければいいのか、どんな風にひとつの人間関係を大切にし続けたらいいのか、私にはよくわからなかった。聞きたい話も思い浮かばないし、私がしたい話もない。そういう人と、私はどうやって接していったらいいんだろう。

もう本当に人間として終わりなのかもしれない。大切な人をきちんと大切にできない私は一体なんなんだろう。もっと大人になっても、周りの人を大切にする方法がわからないまま大切な存在をものみたいにどんどん捨てていって、人生でとてつもなく大きな財産を見逃してしまうのかもしれない。

Text/あたそ

※2018年5月22日に「SOLO」で掲載しました

次回は <私は恋愛ができない。けど、「好きな人」への思いだけで生きていける>です。
「恋に迷ったら、アム読む。」のAMに、姉妹サイトSOLOでのあたそさんの連載も統合されました!しかし、あたそさんが感じているのは、恋愛をする資格がないという欠落感と、「好きな人」に一人の人間として認めてほしいという願いでした。