元ストリッパーを「そんなに綺麗でもない」と言った母に違和感を抱いた

小学校2年生か3年生くらいの頃だったと思います。出版社に勤めていた父親が、同じ編集部で働いている同僚や出入りのライターなんかを我が家に呼んで飲み会を催した際に、その中の誰かの奥さんだという女性も来ていていたことがありました。大人たちの集う飲み会なんて子どもにとってはつまらないので、つまみをおかずにご飯を食べてお腹いっぱいになったらさっさと自分の部屋に引っ込んでしまったし、知らない大人に人懐こく話しかけるタイプの子どもでもなかったので、その女性とは宴の最中に一言も口を利いてはいないのだけど、脚にレッグウォーマーをしていたことだけはなぜかはっきりと記憶している。

客たちが全員引けた後、母親はわたしにこう告げた。「女の人がいたでしょ。あの人、〇〇さんの奥さんなんだけど、元ストリッパーなんだって」と。当時、父親の持って帰ってくる週刊誌をこっそり読んでいたので、幼いながらストリッパーというものが、どういうことをする人かは知っていたけれど、実物を見たのはもちろん初めてで、「えー! そんな人が我が家に来るなんて!」と驚き、なんだかいかがわしいものというか、本来は子どもが近づいてはいけないものに触れた気がして興奮も覚えた。と同時に、当時の我が家はそういうアダルトなことを子どもから覆い隠す風潮にあったので、母がわざわざ「あの人はストリッパー」などとわたしに伝えてくることが、なんだかしっくりこない違和感のようなものを抱いた。

さらに母が続けて「そういうお仕事してたわりにはそんなに綺麗でもないし、ふつうにおばさんだったわよね」と首を傾げていることにも、なんだか釈然としなかった。母は人の容姿について何かを申すのは、よくないという考えの持ち主で、わたしがブスとかデブとか、そういうことを言う度にいつも叱られていたからだ。そんな母の口から「綺麗でもないふつうのおばさん」という言葉が発せられることは、いつもと違っていて居心地が悪い気がしたし、腑に落ちなかった。