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  • 2016.03.26

幼稚園の頃から「背徳感」を感じていた―性と共に生きるということ

「性と共に生きる」そのことの意味について考えたことはありますか?積極的に性と関わることで得るものも失うものも。エロを自らの“生きる道”として選択した筆者ならではの過去の出来事を織り交ぜながら考えてみましょう。

「性と積極的に関わりながら生きる」ということ

大泉りか 別れ 卒業 状況 春 女 男 喧嘩
by Paula Satijn

 こういう仕事をしていると、「やっぱりエロいんですか?」と尋ねられることがよくあります。
頭から「ヤレる」と思って近寄ってくる男性もいるし、「ちょっと、こっちとは違う人種ですよね」といったような、謂れのない差別を受けることもある。

 しかし、不当ながらも「まぁ、仕方ない」と腹も立てずに、意外とあっさりと受け入れることが出来るのは、やっぱり心のどこかで「自分は人よりも、ちょっとだけエロいのかもしれない」という意識をうっすらと持っているからです。しかし、ここまできても、「わたしはエロい女だ」とはっきりと言い切ることが出来ず、「だってエロライターからのエロ小説家という経緯をたどってきたのだから、自分をエロいと自称してもいいですよね……」とぐだぐだと考えてしまうのは、面倒くさいことに、「わたしって、エロな人なんですう」と自称することを、わたしの自意識が、なぜだか許してくれないからであって、決して「エロ」であることが恥ずかしいからでははありません。

 そう、今はもうエロを生業とすることに、迷いも恥じらいも悩みもないけれど、葛藤していたこともありました。
だってエロというものは、本来は隠しておくべきプライベートなものであるとされていて、そこを剥きだしにして社会に生きるということは、そこそこに覚悟が必要なことでもあるわけです。
付き合っていた男性に「頭がおかしいんじゃねーか」と言われたこともあれば「露出狂とか、そういう変な性癖の持ち主だって理解すればいいのかな」と笑われたこともある。そういう傷を受け、泣き、歯を食いしばり、時には自信がぐらついてブレることもありつつも、いま、エロを自らの“生きる道”として、ここにいる……というわけで、“シリーズ恥”と題しまして、この連載内で時折、過去の出来事を交えながら、「性と積極的に関わりながら生きる」ということについて考えていきたいと思います。もしよろしければお付き合いいただけますと幸いです。

 さて、こういった場合、やはり最初に語られるべきは、性の目覚めについてでしょうか。
わたしの性の目覚め――“エロ”にまつわる記憶を辿ると、幼稚園の頃、よく性器いじりをしていた記憶にたどり着きます。
それを、ずっと「イケナイこと」だと感じて背徳感を持ってしていたこともはっきりと覚えています。その理由は、純潔派の母親から「大事なところだから触っちゃだめ」と教えられていたからでしょう。
昔から「だめ」と言われても、その理由に納得できないと、言うことを聞かないタイプでしたが、母親も老獪で、「ばい菌が入ったら大変だからダメなのよ」という納得せざるを得ない理由を提示されて、言い含められていたので、「ダメなのに、気持ちがよくて触ってしまう」ということに罪悪感を持っていたのです。

 あれは小学校2年生の夏前のことでした。
学研の雑誌『学習』だったと思います。「今年の夏休みに、富士山が爆破する!」という記事が載っていたのです。「マジか!」と恐れをなしたわたしは天の神(※当時から、特定の宗教などは信じていないので、あやふやな存在です)に向かってこう祈りました。「夏休みの間、アソコを弄るのを我慢するので、富士山は爆発させないでください」と。

 皆さまご存知の通り、富士山が爆発することはなく、その夏は無事に終わっていきました。
どう考えても、オナ禁祈願までしたわたしの願いが、天に届いたからではないのですが、わたしは「東京を、家族を、友達を、みんなを助けた!」と誇らしげな気持ちを抱いたことを印象深く憶えています。

 けれども、わたしは、その富士山の噴火を食い止めるために願を掛けた事実を、誰にも告げることは出来ませんでした。なぜなら、それは「アソコを弄ること」が罪悪感を持った行為だったからです。「大事なところで、ばい菌が入ったら困る」と言われていたのは、性器だけではなく目だってお臍の穴だってそうでした。けれども、セックスの時に使う穴だという知識はなかったにも関わらず、きちんと性器にタブーを感じていた。最初はそうだった。
いったいどこで道を曲がったのだろうか。

 続く。

…次回は《幼い頃の「性的トラウマ」で食べられなくなったあるもの》をお届けします。

Text/大泉りか

ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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