女性向けアダルトVRは売れるのか?

 私は一度、「『VRはアダルト業界が育てる』なんて期待はほどほどなほうがいいぞ」という思いもこめて「VHSの普及は、本当にAVのおかげ?――ビデオとエロの結びつきとAV前史」を書いている。
体験してやはり思ったが、現時点のアダルトVRには弱点もないではない。VRは配信環境や再生機器(スマホやゴーグル)のスペックによって画質にバラつきが出るそうだ。たとえばゴーグルは数百円から数万円まで幅があるが、相当な準備がないかぎりは高画質を担保できないのである。ゴーグルを外した瞬間に「現実世界ってなんて美しいんだろう……!」と思う程度には、VR空間はぼやけている(ある意味、この瞬間がVRの醍醐味ではないかとすら思った)。この点ではまだまだDVDやストリーミング配信が勝っているだろう。

 しかし、DMM.R18のAVを「人気順」「売上げ本数順」に並び替えてみると、意外とVR作品も上位に食い込んでいる(ただし「人気」「売上げ本数」の基準は累積的なものではなく瞬間的なものであると思われる)。私が過去に予想していたよりは、男性向けアダルトVRは世間に浸透しつつあるようだ。

 この連載の第1回で、私は最後に、女性向けAV研究は「こんなん見たことないわ」の連続だ、と書いた。女性向けVRは、久々に私に「こんなん見たことないわ」を体験させ、視覚を拡張した感覚がある。
少しでも気になったなら、フットワーク軽く、試してみる価値があるだろう。体験したAM編集部の1人は、その日のうちにゴーグルを買ったようである。

Text/服部恵典

次回は <「私たち」はAVを卒業できない――「AVは男のもの」が通用しなくなった時代に>です。
嵐山みちる、麒麟、タイガー小堺、沢庵、真咲南朋(敬称略)の有名AV監督5名によるトークイベント「僕たちはAVを卒業できない」。服部恵典さんがこのイベントタイトルから、AVを研究する意味と、女性もAVを観るようになった時代について考えます。