日本初の女性向けAVを探して――88年、夢と消えた男たち

日本の女性向けAV第1号とは?

服部恵典 東大 院生 ポルノグラフィ 研究
by ErnieXavier

 前回のテーマは「バイブの文化史」、前々回のテーマは「AV前史」だった。
歴史シリーズが続いて恐縮だが、今回のテーマは「女性向けAVの誕生」である。

 2008年設立のSILK LABOが日本初の女性向けAVメーカーだと思っている人もいるかもしれないが、それは誤りだ。もちろん夏目ナナ主演で撮られた、2006年『an・an』付録DVDも違う。
実際にはそれ以前にも、数々の女性向けAVが現れては消えていった歴史があるのだ。

 だが、「SILK LABOじゃないなら、女性向けAV第1号は何だったのか?」と聞かれると、実は答えるのは難しい。
AVは存在自体がグレーであるという性質上、図書館や博物館のようなアーカイブが存在しない。そのため、歴史を追うことが極端に難しいのだ。
作ったメーカーが潰れているかもしれないし、昔からAVを買い集めている男性マニアでさえ、女性向けAVを押さえているとは限らない。ゆえに、「女性向けAV第1号」がどの作品なのか、業界でも分かっている人はほぼいないと思う。

 たとえば、日本で最もアダルトメディアに詳しい人物の1人であろう安田理央は、最新刊『痴女の誕生』に「女性向けAV自体は、それまでにも何度となく作られていはいた[原文ママ]。1990年にJVDから発売された『シンデレラになりたくて… AV女優、小沢奈美の性の事情』が最も古い作品であろう」(p. 195)と書いている。
だが、1990年が女性向けAVの誕生年というのは誤りだ。

 なぜかというと、私が存在を確認できる限り、最も古い女性向けAVが1988年6月25日発売のものだからである。
しかし、安田よりも古い女性向けAV作品を見つけたところで、「これ以上に古い作品は絶対ない」と断言できるわけではない。私も、「女性向けAV第1号」がどの作品なのか、確信が持てていないのだ。

 だから、ポルノグラフィ研究の進歩のために、これより古いものを知っている方からの批判を待つ。
その間、この「暫定第1号」がどんな作品だったのかご紹介することにしよう。