「僕らのマンションに遊びにおいでよ!」

 3Pバージンのまま墓に入る覚悟を決めた頃、とあるゲイカップルから3P招待状をもらった。
直接的には言われていないものの、これは明らかに3Pへの誘いである。
どちらも自分のタイプだったのでドキドキが止まらない。
カップルの間に第三者として参加するなら取り残される心配はないが、あんまり注目を浴びても緊張してしまう。
セックスの最中に誰と何をすればいいのかわからず大混乱したらどうしよう。
頭の中の妄想のせいでこの3Pバージン卒業のチャンスを逃す前に、とりあえずお茶だけでも飲みに行くことにした。

 未経験者にとって複数プレイはちょっとハードルが高い。だから、3P経験談を山ほど予習してきた。
人生で一番気持ちいいセックスだったと話す人もいれば、最高に気まずくて後悔したという人もいた。
意外なことに、何人参加してもセックスはそんなに変わらないと感じる人もいた。百聞は一見に如かず。
こればかりは自分自身で答えを見つけるしかない。
先入観や期待はどこかに仕舞って、好奇心を持って挑もう。
そのゲイカップルの玄関前に立って、呼吸するのを忘れながら扉をノックした。
力が入ってない微妙なノックだったが、すぐに扉が開いた。

「ようこそ!」

 二人のこわばった表情から緊張感が伝わってきた。どうやら考えすぎなのは自分だけではないようだ。
綺麗に整理整頓されたリビングルームに案内されて、ソファーに腰掛けた。
目の前のワイングラスに白ワインを注ぐ相手の手がちょっと震えている。
ゲイカップルの二人は自分の右と左に座った。どう考えても不自然である。
これからセックスするのは明白なのに、人間はポーカーフェイスを決めるから笑える。
どうすればいいのかわからず、間を持たせようと目の前のワインに手を伸ばして無意味な乾杯をした。

Text/キャシー

次回は <ゲイカップル+私+気まずい2時間>です。
次回は「3P」についての後編。皆さんも話には聞くであろう3Pですが実はコンビニのアルバイトと相通ずるものがあったのです…