「35歳までには再婚したい」

こちらはまだする気がないのだが、彼女は「35歳までには再婚したい」というタイムリミットを区切ったようだ。毎回2~3回のセックスは素晴らしかったが、このまま彼女のペースで生活が変わるのが怖くなった。

朝、起きると朝勃ちしているアソコを彼女がしゃぶっていることもあった。彼女のことは好きだが、僕のような適当過ぎる人間が彼女のような真面目な女性と結婚するのは彼女にとって良くない――。このような気持ちに至った。やはり女性というものは男の感情の変化を瞬時に察することができる。「私と結婚する気あるの?」と言ってきたので「今はないです」と答えた。すると「じゃあ、私もタイムリミットがあるので、この関係はこれで終わりにしよう」と言われた。

こうして我々は「別れた」ワケだが、彼女の会社に行く日々は続くわけで、その都度これまでのことはまるでなかったかのように笑顔で他人行儀な対応をされるのを見て「やっぱあのときプロポーズすべきだったのでは……」と後悔することもあった。

Text/中川淳一郎