夫婦間でいまさら言えないな…と思っていること/カレー沢薫

今回のテーマは「夫婦間でいまさら言えないな…と思っていること」だ。

確かに夫にちゃんと言っていないことというのはたくさんある。

例えば私が吐き気を催すキモオタであることを改めて伝えたことはないし、若かりしころ目を二重に整形したことも言っていないような気がする。

しかし、私は唐草模様のほっかむり姿で忍びウォークをしている泥棒みたいなところがあり「言わなければ隠せている」と思いこんでいるため、行動面では全く隠そうとしないのだ。

つまりバレていることが多い。
刀剣乱舞のへし切長谷部のねんどろいどを玄関に飾り、長谷部がプリントされたマグカップでミルクティーを飲んでいる私を見て何も思わぬようなら夫は相当私に興味がないし、そもそも整形は「付き合っている間」にやったような気がする。

多分夫は私が言っていないことに大体気づいており、あえて聞かないだけなのだろう、もしくは私に対しパラグアイの天気以下の興味しかもってないのだ。

だが、夫は基本的に「多くを聞かない人」である。

出かけてくると言っても「どこに?」とは聞かないし、友達と会ってくると言っても「誰?」または「その友達は本当に実在しているのか?お前にだけ見えているということはないか?」などと詰めてこないため、こちらもあえて言わないことが増え、それが今更言うのもなということになっていくのだ。

しかし自分にとって今更なことは、言われた方にとっても「今更それを言われたところで」になっている可能性が高い。

今更お前の配偶者はキモオタなのだと言われても「知ってた」だろうし、仮にそれで「キモオタはやめろ」と言われても無理である、少なくともキモくなくなることはない。

つまり、今更言っても仕方ないことは言わないままの方が良いのではないか。

しかしこれは私の趣味や瞼のたるみという心底どうでもいい話だから相手も今更聞かされても困るのだ。

もっと重要な話なら今更でも言うべきなのか。

だが「昔不倫をしていたが、今はしていない」とかならどうだろう。