『百円の恋』脚本家が初監督!男子の“おっぱい”への想いがつまった“性春”ストーリー『14の夜』

たけうちんぐ 映画 14の夜 足立紳 犬飼直紀 濱田マリ 門脇麦 和田正人 浅川梨奈 SUPER☆GiRLS ガダルカナル・タカ 光石研
© 2016「14の夜」製作委員会

 それは想像していたよりも“地獄”だった。単なる童貞少年の鬱屈した日常をイメージしていると不意を突かれる。
その“地獄”はもちろん命に別状はない。ただ、14歳の世界がいかに狭いか思い知らされるのだ。
思春期は小さな挫折を絶望に感じ、僅かな喜びを幸福を覚える。そんなタカシの地獄から救ってくれる唯一の希望は、「おっぱい」だったのだ。

『百円の恋』で第39回日本アカデミー賞・最優秀脚本賞などあらゆる映画賞を受賞した脚本家・足立紳の初監督作品。
主人公・タカシ役にオーディションから選ばれた新人・犬飼直紀、ダメ親父役に光石研、その妻役に濱田マリ、ヤンキーの“巨乳”同級生のメグミ役にSUPER☆GiRLSの浅川梨奈といった個性豊かな面々が、1987年の田舎町を舞台にした中学生男子の“地獄”から“性春”への逃避行を色鮮やかに彩る。

おっぱいこそが別世界に連れていってくれるファンタジー

たけうちんぐ 映画 14の夜 足立紳 犬飼直紀 濱田マリ 門脇麦 和田正人 浅川梨奈 SUPER☆GiRLS ガダルカナル・タカ 光石研
© 2016「14の夜」製作委員会

 タカシの絶望の多くは父・忠雄のダメっぷりにある。一番尊敬したいはずの人物が一番最悪なことが、良い塩梅に地獄を与えてくれる。特に姉・春子が連れてきた婚約相手との一家団欒シーンのぶち壊しっぷりがたまらない。
松田聖子やジャッキー・チェンなど時代を感じさせる固有名詞が飛び交う中、見ている分には爆笑。そこに居る分には地獄。そんな救いようのない日常が繰り出される。
ここから逃げ出したい。だが、現実逃避をするにも旅ができるような環境にない。そうなるともはやおっぱいしかない。幼馴染のメグミの、AV女優の、その豊満なおっぱいこそがタカシを別世界に連れていってくれるファンタジーなのだ。

 ミツル、サトシ、竹内の冴えない仲間たちの会話もまた、どうしようもない性欲とどうでもいい見栄が入り乱れて苦笑する。ある意味、彼らが童貞であることが何よりも救いに思える。全てを知ってしまうより、女性への夢を持つことがこの田舎町の世界を広げている。
AV女優のサイン会でAV女優のおっぱいを揉むことがまるで何かのワールドカップのような、アカデミー賞のような、史上最高の勲章にしか見えていないのが良い意味でも悪い意味でも泣けてくる。