多淫症という言葉、強烈な言葉だなと思いますが新宿二丁目ではその手の話は結構耳に入ります。もちろんすべてのゲイが多淫症ではありません。また私自身も多淫症ではありません。一年くらいそういうことがなくても私は平気で生きています。とは言うものの二丁目は女性よりもどちらかというと性欲が強いと言われる男性が多く集まる歓楽街でありますので、飲み屋特有の性自慢なども含めてトータル1,000人以上と関係を持ったことがあるという人をたくさん見てきました。

私の友人にも経験数1,000人越えの人は沢山いますが、そのこと以外は至って普通でちゃんと友人づきあいができています。そんな友人が多いせいか、私はセックスはしっかりとSTD（性感染症）対策をやってお互いの合意ができていればそんなにおおごとではないのだなと思っています。だからみんなから多淫症と言われている彼も私は友達としてなら普通に付き合えると思います。

ただ、彼も言っている通り特定の相手にするのは厳しいかなとも思います。彼もそのあたりを無理に理解させようとか、受け入れさせようという考えがないから「恋愛不適合者」という形で多少自虐的に話しているのだと思います。文面から察するに彼は良心的な多淫症です。私も普通に友達付き合いできるでしょう。

私はどちらかというと多淫症の彼よりも多淫症だと彼を糾弾したり、別れを勧めるあなたと彼の周囲の方が苦手です。彼はたしかに多淫症で恋愛として付き合うことは不可能かもしれません。ただ彼の他の部分や仕事や心遣いまで周囲の人たちは見ているのでしょうか？

人間は一面的ではありません。多面的な生き物で性生活はその多面的な人間の一部です。その一部だけを見て、付き合うに値しないという判断をするのはあまり好きではありません。あなたの文章から見えた多淫症と言われている彼は紳士的ではっきりと自分を恋愛不適合者と言う正直者です。たしかに恋愛的には成就しなくても、彼から学ぶところや一緒にいて心安らぐことがあれば私だったら排除する必要性までは感じません。

どうか無理解な周囲に負けないであなたの気の済むまで今の関係を続けてください。28歳という年齢ならばまだ急いで結論を出さなくても良いと私は思います。

もう一つ、恋愛依存症気味というのは自分が思っているより軽いと思います。恋愛依存症というのは恋愛で仕事や日常生活に支障をきたす場合です。あなたは恋愛中でも海外転勤を行い仕事をちゃんとしています。自分に自信を持ちましょう。仕事や日常をちゃんと送っている上で恋愛を求めるのは素敵なことです。そのままで良いのではないかと私は思います。

TEXT／肉乃小路ニクヨ