飲むことやカラオケと、”やる”ことは変わらない

 「箸休めに、ちょっと純粋な恋バナください」とリクエストしてみたところ、高校時代に一生懸命やっていたバンド内でメンバー2人に手を出したという話をされる。どこが純粋なんじゃい、との指摘に、「え、くそピュアじゃないっすか!」と返ってきた。
性の話が止まらない。驚くほどにみんみんは、性に奔放な少女だった。

「最初は嫌だったんですよ、色んな人とやることは。でも、求められることに快感を覚えるようになってから“やることって別にそんな価値無くない?”と思いはじめて、今は友達と笑ったり泣いたり飲んだりするのとセックスは変わらないし、特別なことじゃないと思う

 「ちなみに片思いってしたことあるの?」という問いに、まるで初めて聞いた言葉かのように「片思い?」と怪訝な顔で聞き返された。そして、初めてそのことについて考えたかのような沈黙の後、みんみんは答えた。

「諦めるんですよ。だから、うちのことを好きじゃない人のことは好きにならない」

性の相手の見つけ方

 そうは言っても、現役大学生がどこでそんなに相手を探すのだろうか?

「深夜に歩いていればみんな話かけてきますよ」

 ああそうか、ああそうか! 確かに、東京における若い女子は、下心アリの男たちに囲まれて生活しているようなもんだ。繁華街を歩いていれば、簡単に声をかけられるだろう。お店に入れば、誰かが奢ってくれるだろう。そこからどう発展してもおかしくない。

「この前電車で寝過ごして、夜中の八王子まで行っちゃったんですけど、そこのファミマでサラリーマンに話しかけられたんですよ。終電逃したって言ったら“泊めてあげるよ”って言われて、泊まった。で、やった」

 「えええっ!」と、何回目か分からないくらいの驚きの声をあげた。思わず漏れてしまった「気を付けてね」の声に、みんみんはしっかりとした声で答える。

「知らない人とやる時は絶対ゴムつけるし、連絡先知らない人にはやる前に免許証の写メ撮らせてって言います。あと、私が指定するホテルじゃないとダメって言います」

 みんみんと飲みながら2時間ほどが経ち、少しずつ忘れかけてた色んなことを思い出していた。
私も昔、少しだけ乱れた生活をしていた。初めて女として扱われ出した頃、女性“性”を武器にチヤホヤされていた。初めての性の解放の熱にうかされていた。
確かに街で声をかけてきた男と飲みに行ったりしてたし、確かにサークルの同期の男の家で、酔いつぶれた男友達のパンツを脱がせ、ラーメンの麺をコラージュして遊んでいた。
「あ、変わらないか」と己を納得させようとした。

 いや、でも、正直に言おう。全然ちげーーーー!!!

 いくら街で声をかけられても1人では付いていかなかったし、股間にラーメンコラージュしても決して男友達とセックスはしなかったぞ…。何より、そんな体験をこんなにもあっけらかんとは語ってなかったぞ…!!

 頭がグルグル回ってしまう。みんみん、この不思議な感じはなんだ…!
このあけっぴろげな感じはなんなんだ。とにかく明るく、全く性の匂いがしないのだ。
スポーツ頑張る高校生、かのような容姿から発せられるあまりにも明るい性の話。しっかりとした物言い、頼りがいありそうな雰囲気、から止まらないゆきずりのセックスの話。
ああ、何かがアンバランス。何だこのアンバランス。

 真面目さと奔放さとを怖いくらいにあわせもつ、みんみんの話は止まらない。それは、幼さなのか、それとも性を極めた姿なのか…
次回、みんみんの恋バナ後半戦は、「あまりにも家族思いな将来設計」と、「みんみんにとって男とは」です。
街ゆく人のリアルな恋バナが、ここにある…。

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