「既婚者に惹かれる」と言い切る、苦しくてまぶしい24歳女子の恋愛模様

錦糸町の華金。なかなかナンパが成功せずぶるぶる震え出したところで出会ったのは、人生2社目の会社をまさに昨日退職したあさこちゃん。彼女の恋愛観は若くして経験したあることがキッカケで…

poiboy 舘そらみ
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 「一緒に飲みませんか?ご馳走させて!」のナンパ文句を軽く100回ほどスルーされた真冬の錦糸町。世知辛さと寒さに気が遠くなりはじめた頃「いいよ飲みましょー、てか何やってんのウケるー」と懐広く受け入れてくれた2人組。

 フェロモンだだもれの留学準備中ゆかちゃんと、“おしとやか”という言葉を体現したかのようなあさこちゃん24歳。隣の忘年会サラリーマンからの絶え間ない「合流しないー?」の声に耐えながら(錦糸町らしい!)話を聞いた。

あさこちゃん、24歳転職活動中の場合

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 どこか幸が薄そう、と言ったら怒られるだろうか……。スレンダーな体に、薄めの顔立ち。
とにかく謙虚で「大丈夫ですか?」と相手を思いやるのに、卑屈な感じはまるでない。
童顔には似合わない低い落ち着いた声に「この人しっかりしてる人だ!」と一瞬で確信した。

 東京生まれの24歳。人生2社目の会社を、まさに昨日退職した。そんな、有給消化一日目の夜だった。

「なんとなく目星つけてる転職先はあるけれど、少しゆっくりしたいなあ」

 と語る彼女の恋バナは、中学校時代から始まる。

「中1から3年までずっと同じ人が好きで、なんとその人に中3のときに告られたの。なんだけど、なんだけど、実はそれが、罰告で

 罰告…それは、罰ゲームで告白をすること。

 本当にもう、男子中学生は恋愛模様こじらせ過ぎだから!
2年以上片思いの相手に告白されたのが罰ゲームだったなんて、想像するだけで辛い。しかもその頃あさこちゃんは、ほとんど学校に行っていなかった。

「地味か派手かで分かれる女子の感じが嫌で…一応派手な方にいたんだけど、その子たちがなんだか意地汚く思えちゃった。2年になったタイミングで“もう行くのやーめよ”と思って行ってなかった」

 そのタイミングでできた初めての彼氏は、罰告だったこともあって1週間で別れた。

「でもその後ちゃんと好きになってくれて、正式に付き合いなおしたの。でも半年で浮気されて別れた。いや浮気っていうか、二股だったことが発覚して」

 初めての彼氏が、二股男。あさこちゃんは「男なんてなんでもいいや!」状態になり、高校時代は男遊びを重ねた。学校には、引き続きあまり行かない子だった。

「本当にバカな男たちと遊んでた。チャラ男と遊んで、やって、付き合う?みたいなの。そういう恋愛をしてきたから、今もやってからじゃないと付き合うとかいう話はできない」

 そんな過去があったとは信じられないくらい、落ち着いたトーンで話す。
そうしてフラフラする間に、高校を卒業する年齢になった。
どうしてもしたい勉強があって大学に入学したが、授業がどうしても面白くなくて1週間で行かなくなりそのまま退学した。

 そうして18歳で社会人になったあさこちゃんは、フリーターとして働き始めた居酒屋で彼氏ができる。3年ぶり、2番目の彼は、売れない芸人だった。

夢の諦め方がダサかった、売れない芸人の彼氏

「24歳のバイト先の先輩で、当時向こうには結婚を考えている彼女もいた。でも私のことがタイプだったみたいで“今、あさこか彼女かで揺れてる”と言われて、素直に嬉しくて

 そこ嬉しいんかい! てか2人目の彼氏も浮気男かい! と3人で突っ込む。
「浮気男なのはその2人どころじゃないから、覚悟してくださいね」と、意味深な言葉が返ってきた。

「浮気論についてはゆっくり聞いてほしいので、まずは芸人の話を終わらせますね」

 と、業務か!って具合に続ける。

「芸人とは3年付き合って、でもダサイ感じで芸人を辞めたのが原因で、別れたんですよね」

 あさこちゃんは、伝わるかな? の顔を私たちに向ける。
私はわかるー!と叫ぶ。ゆかちゃんは意味わかんねー!と叫ぶ。

 この理由を納得するタイプとしないタイプで、女は二分される気がする。理想主義と、現実主義と。

「夢を追っかけられるてる彼のことをすごいなって思ってて、その姿を見てたくて応援もしたくて。でも不完全燃焼で悲劇のヒロインぶってやめちゃって、俺は今辛いんだからそばにいてよ!って言われて…ちょっとお前無理、ダサイって別れました

 自分以外の何かに向いている人が好きなのかもしれない、とあさこちゃんはポツリと続けた。 そうかもしれない。浮気者しかり、夢追い人しかり。自分以外の何かを目指していたり、自分以外の誰かを幸せにしようとしている人が好きなのかもしれない。

「それで結局、既婚者に惹かれるんですよ。その芸人のあとの彼氏は既婚者だったんですけどね」

 おお、おお、と全員歯切れの悪い相づちを打つ。
その場にいる全員が、既婚者との恋愛を経験していた。みんな「まあ、あんときはやっちまったなー」って思ってるから、どうしても歯切れが悪くなっちまう。
そんな中「既婚者に、惹かれるんですよ」と言い切れるあさこちゃんが眩しくて&心配で。
「ちょいちょいちょい、なにがいいんだよ既婚者のさー! 幸せになれないじゃんかー!」
とわざと笑い飛ばし、ヘラヘラしながら話を聞いた。

 いや、不倫話は結構、繊細だぜ。 ≫幸せになる恋をしよう≪