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  • 2016.12.09

「好きな人と結婚したい」全然無理してない47歳キャリアウーマンの潔い結婚観

中目黒で出会って初めましてで7時間弱べろべろに酔っ払いながら恋と人生について語ってくれたハナちゃんに続いて自身の恋愛を語ってくれたのは広告代理店勤務の真由子さん。精力的に動く日々とは裏腹の恋愛に関して嘘偽りなく語って頂きました。

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©Poiboy

 中目黒で出会ったのは、パワフルな人妻ハナちゃんと、「初めましての恋バナ図鑑」6人目となる真由子さん。彼女は自分のことをなかなか話してくれないという、今までにないタイプの方だった……。
質問を投げかけても「特にないよーそらみちゃんは?」と返されてしまう。
それでも話を聞きたくて、7時間弱飲み続けた。

真由子さん、47歳独身キャリアウーマンの場合

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馬肉を食べ過ぎて予算オーバーしました。©Poiboy

 広告代理店に勤め、バリバリと働いている真由子さん。新宿2丁目でよく飲み、広い交友関係で色んな集いに顔を出している。
とは言いつつ、そんな精力的な毎日の様子を知れたのは会も終盤。
なかなか口を開いてくれない真由子さんに、まずは若い頃の話を聞いてみた。

「10代の頃は何も考えてなかったし、夢とかもなかった。もう全然普通で、特にないよー

「絶対もっとなんかあるはず!」としつこい私たちの攻撃に、ほんの少しだけ話してくれた恋愛があった。何度も何度も私たちの話を挟みながら、少しずつ話してくれた。

好きすぎて一線を越えられなかった人

 19歳から28歳まで、真由子さんは友人に片思いをしていた。2人でたくさん遊んだりもしていたし、手だって繋いだこともある。

「一回帰れなくなってホテルに泊まったことがあったの。その時にやる? みたいな感じになったんだけど、私が“ごめん”って断っちゃった」

 好きすぎるあまり考えすぎちゃっての“ごめん”。なのに、真由子さんの“ごめん”の意味はきっと相手には届いていない。

「多分人生で一番好きで、今でもずっと引きずってる。もし今、彼が独身だったらいくのになあ……」

 共通の知り合いに連絡先聞こうよ! と鼻息荒くしてみても、「うーん」とハニカミ笑顔を見せる真由子さん。 あ、やっと分かってきた。この方は、ものすごくピュアなんだ。

10年付き合って別れた、家柄のいい男

 9年の片思いは、彼の転勤で距離ができたのをきっかけに疎遠となり終わった。その人のことを思い続けて20代は過ぎ、30歳になり彼氏を作った。その彼氏とは、10年も付き合うことになる。
40歳まで付き合ったのに、なぜ別れることになったのだろうか。

「彼は家柄がすごい人だったから、そういう“お家を継いでいく”とかは違うなあって思って、別れた」

 この人しかいない! そんな風に思えていたら、どんな家にでも嫁いで嫁業をやったかもしれない。でも、彼にそこまでの思いを抱けなかった。
「あの時結婚しとけば良かったって思うことない?」の問いに、

「まったくなーい! ただ、彼には本当に“ありがとう”って感じ」

 とだけ答え、真由子さんはすぐほかの人に話をふった。 なかなか言葉を連ねてくれない歯がゆさで、私・舘そらみは、真由子さんの感情にもっと触れたくなっていた。特に、結婚への思いについて聞きたかった。

 アラサーの私ですら、未婚であることを痛感する瞬間は毎日のようにあるし、この先結婚をする人生なのかどうかよく考える。
真由子さんは、47歳。“淋しい”なのか“超楽しい”なのか分からないが、独身でい続ける思いを聞きたかった。なのに本当に話してくれない。半ばムキになりながら、質問を重ねた。

≫好きすぎるくらいの恋をしよう≪

好きじゃない人とは結婚したくない

 家庭持ちたいって思ったことないんですか?……同じ質問を、表現変えて繰り返す。

「え? 家庭持ちたいよ」

 当たり前のようにスルッと真由子さんが答えた。「え? そうなの??」思わず素っ頓狂な声が出てしまう。

「え? 彼氏は?」「好きな人は?」小さく開いた穴をこじ開けるかのように、矢継ぎ早に聞く。

「彼氏はいない。好きにもならない。もう10年ときめいてない。でも、セフレ的なのは何人かいる。どういう人なのかは内緒ね。その中からそりゃ本命は作りたいけど、好きにはならない。結婚は、したいけどな」

 そうか、結婚したいのか真由子さん!! 婚活はしないの? という問いに珍しく長めに答えてくれた。

「婚活ってあんまり信じてなくて、怪しい~って思っちゃうんだよね。ガツガツしてるのがあんまり好きじゃないんだよねー」

 いやいや、少しはガツガツしてくれや! と一斉に懇願混じりの野次が入る。
そんな私たちの熱とは反対に、真由子さんはひょうひょうと続ける。

「誰も好きにならないんだよねー。みんな好きな人できるってすごいね、その話聞かせて!」

 目を輝かせて私たちを見る真由子さんに、最近アラサーで飲むたびに出る発言――“でも、ものすごく好きな人との結婚って、多分もう望めないじゃないですか”を口に出してみた。…どこまで妥協するかだよね、というアラサー女子の合い言葉だ。

「そこまで好きじゃない人と一緒にいるくらいなら、結婚しなくていいなあ」

 ひとりで生き続けるのが怖くて、妥協して結婚したり、もしくは妥協できない自分を悩んだりするのに、真由子さんにはそれがない。
妥協するつもりもなくて、つまり好きな人がいない限りは結婚もできるはずがない、と割り切っている。悩んでもいない。

 まっすぐだなあと、眩しく映った。

「悩みも不満もないんだよね。昔からないよー。なんでみんな悩んだり、不満持ったりするの?」

 少しだけ、真由子さんが結婚を焦らない理由がここにある気がした。きっと、幸せ上手なんだ。今の自分の生活を楽しむ力があるから、無理に頑張って結婚しなきゃともならない。

「1年後何してたい?」「好きなタイプは?」次々と質問が続く。

「1年後はね、心穏やかでありたいかな。だから男性のタイプも、穏やかな人。もう“ほうおう”みたいな人で、ボケてるくらいがちょうどいい。イライラするのが嫌いなの」

“ほうおう”のような人がタイプなんて聞いたことがない。真由子さんが言う“ほうおう”が「鳳凰」なのか「法王」なのか分からないが、どちらもひどく雄大だ。

 イライラするのが嫌いで穏やかでありたい、と穏やかな表情でゆっくりと語る真由子さんに、なんだかごめんなさいと思い始めた。そんなおだやかな心持ちの方に、コバンザメのようにグイグイグイグイ質問して、何をやってんだって気分になってくる。

「語らない」ことこそが彼女自身

 今回2人に出会い、考え方が変わったことがある。それは、「思い出話なんて当てにならないな」ということだ。 この企画を通じて話を聞くなかで、「この人にこの歴史ありだなあ」と頷きながら聞くことが多かった。底抜けに明るいハナちゃんに超パワフルな歴史があるように、その人らしい昔話ばかりだった。 でも、じゃあ、真由子さんは?

 真由子さんは、10代の話なんか「ない」っていう。20代も30代も、「特にない」って言う。でも、本当はないはずなんかないじゃない。だから気がついた。
思い出話は、結局は当人が取捨選択し、彩られて話される。今のその人のフィルターをかけて話される。気分が滅入っている時に人に話してしまう思い出は、失敗話や苦労話になるだろうし、逆もしかりだ。
思い出はどのようにもねじ曲げられるし、自然にきっとねじ曲がってしまうものだ。
そんな歴史があるからその人なのではなく、その人だからそんな歴史を語るのだろう。
思い出=過去のその人ではなく、思い出=今のその人だ。

 おだやかーな、まったく自己顕示欲を感じさせない真由子さんが語る思い出にエピソードがほとんどないのも、当たり前のことなのだと思った。
……そんなことを考えてる間、私のバトンを引き継いだかのように編集Oが真由子さんの話を引き出そうとしていた。でも、面白いほどに形勢は逆転され、いつの間にやらOの恋バナを真由子さんが聞き、アドバイスまでしていた。 まったくもって、そういう人なのだろう。

「ちょっとさ、男呼びたくならない!?」という酔っ払ったハナちゃんの問いかけに、条件反射のように「なるーー!」と叫ぶ私とO。

「ならな~い。今気になってるのは、お酒がないなってことだけ」

 とケダルイ感じで真由子さんは答えた。
……まったくもって、人それぞれだ。

 最終的に、真由子さんからはほとんど話を聞けなかった。感情的な発言ももらえなかった。でもそれこそが、真由子さんなんだろうなあと今は感じる。まったく、人は一筋縄では理解できないや! と当たり前のことを痛感した中目黒の夜だった。
そんな、色んな人に会える企画、次はどこの街に行こうかな。どうか、ご期待ください。

 街ゆく人のリアルな恋バナが、ここにある…。

≫秘めておきたい恋をしよう≪

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次回は<セフレからの“彼女の座”を捨て留学へ…見た目とギャップがすごい26歳女子の実情>です。
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ライタープロフィール

舘そらみ
脚本家・俳優。1984年神奈川県生まれ、トルコ・中米育ち。映画「私たちのハァハァ」の脚本を執筆。Twitter:@_sorami
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