愛されるよりも、愛したいというよりも、セックスしたい

荒野に佇むアラサー女子

大泉りか 官能小説 人妻は不倫の夢を見るか バイブの日 PROmrhayata

「未婚アラサー女子阿鼻叫喚」として名高い『タラレバ娘』(東村アキコ著 講談社刊)の三巻を最近、手に入れて読んだ。一巻から続けて読んでいるが、毎回巻数を重ねる度に、「ああ、既婚者でよかった」と胸を撫で下ろしているのは事実だし、未婚アラサー友人たちが「これはもう、わたしの話!」と泣きそうにもなっている、それもよくわかる。

 特に今回の三巻は、“崖っぷち手前”の年齢ゆえに、“自分のことを好きになってくれない相手への一方通行の恋みたいなもの”に執着せざるを得ず、結果、幸せになれないことが、くっきりと浮き出していて、一読者として「もう、これ、どうすんの!」と先行きが楽しみだけど不安、という案の上、作者の目論見通りの感想を抱いたのですが、さて。

 一方では、同じアラサーや、それよりもさらに年を食ったアラフォーだというのに、ひとりの男に執着する暇もないほど、男から男へと次々と渡り歩いている女性もいます。

 それは何か、というとヤリマンの女性たちです。

 というのも、彼女たちを見ていると、いつも複数のセックスの相手がいるのが通常運転であり、たまに好きな男が出来ても、恋情が一方通行であることを感じた時点で、執着してしまうことを防ぐため、すぐに別の男とセックスをする。
たまにセックスをした男に「付き合おうよ」と告白をされることもあり、なんとなく恋人に昇格させてはみるものの、その男がいまいちピンとこない場合は、あっさりと別れてまたすぐに別の男とセックス。そんな恋愛に疲れて心が病んだら、頓服代わりにまた別の男とセックス。

 なんど傷ついてもセックスを起爆剤にして起き上がり続けるヤリマンは、“愛されてセックスをしたい”と願っている女性からは、きっとアホに見えることでしょう。

 でも、もうアラサーで独身で彼氏が欲しければ、崖っぷちに留まっておらず崖から飛び降りたほうが断然、恋愛のチャンスがあると思うのです。
というのも、崖の上も、かつては、「自分が少女漫画のヒロインのように求められて愛される」幸せなお花畑だったかもしれません。しかし、30年生きてきた結果、その花々は枯れ、今はただ荒野。そんな花も咲かない崖はさっさと飛び降り、とにもかくにも、愛されたいという気持ちは後回しにして、セックスをするしかないのではないでしょうか。

 セックスと恋愛は隣合っているので、セックスだけをしたつもりが、おのずと恋愛に発展することもあるのではないか、と思った次第です。

…次回は《夫婦のセックスレス解決のカギは、エロいセックスをしたという「確かな信頼と実績」》をお届けします。

Text/大泉りか