彼の浮気を知りたい女、知りたくない女、そして「気がつかない女」

相手が浮気をすると思っていない、私

大泉りか 官能小説 人妻は不倫の夢を見るか バイブの日 Iulia Pironea

一時、仲間内でスマホアプリの“浮気ゲーム”というものが流行した。ゲーム中で付き合っているという設定の“彼氏”の家を家探しし、様々な場所に隠された“浮気の証拠”をゲットした後に、修羅場モードと称する場面で彼を問い詰め、白状させたら勝ち、というゲームだ。

証拠の数が少ないとバックレられてしまうし、しつこく探し続けていると、喧嘩へと発展した挙句、うやむやに誤魔化される。シンプルなようでいて、意外と難しく、幾人もチャレンジしたが、見事クリアー出来たのはふたりだけだった。

そのうちのひとりは、平素からゲームに嗜んでいる女性で、もうひとりは、数々の浮気性の男性と付き合ってきた女性だった。「浮気男とばかり付き合ってきた経験はダテじゃない」というので、クリアーするコツを聞いてみたところ、「そんなのは超簡単で、とにかく男が嫌がるところを探せばいいんですよ」という返事が返ってきた。

なので、言われた通りに、彼が「そんなところ漁るなよ」というセリフの表示されるゴミ箱を覗いたり、「向こうに行ってくれる?」と嫌がられる箪笥の中を、必死にガサゴソしたのだが、しかし何度やっても、証拠を集めることの出来ないまま「浮気なんてしていない」と説得されてゲームオーバー。つくづくわたしには、相手の浮気を見抜く才能はない……と落胆したのだった。

よく考えてみると、実生活でも、付き合っていた相手から「実は浮気しました」と告白されたことや、「実は貴方の彼氏、浮気してますよ」という密告を受けて、浮気を知ったことはあるが、自分で相手の浮気を突き止めたことは一度もない。携帯電話は覗かないし、相手の言葉も信じる。しかし、それは相手を信用しているから、というわけではないし、もちろん、嫉妬から自由であるわけでもない。

ではどうしてか、というと基本的に「相手が浮気をするかもしれない」という疑いが頭にないのだと思う。

といっても、あきらかに怪しい外出や、連絡が付かないといった、おかしな行動があると「なんか嫌だな」と思うし、実際に浮気を知った後、泣いたり喚いたりと、大騒ぎしたこともある。相手の女との連絡ツールはすべて切るように仕向けたし、浮気旅行が発覚した時には、そこと同じ場所に連れていってもらい、思い出を塗り替えしてやる、ということだってした。
ただ、それも相手の浮気を知ってしまったから、気持ちを落ち着かせるために仕方なくであり、出来れば知らずに過ごしたかった、という気持ちが、いまだ奥底にある。

相手の浮気を突き止めたいと願う人と、相手の浮気は出来れば知りたくないと望む人、世の中では、どちらが多数派なのか、非常に気になるところである。

…次回は《愛されるよりも、愛したいというよりも、セックスしたい》をお届けします。

Text/大泉りか