ホストが日本舞踊?ホストと知り合ったら日本文化に触れあう機会が出来た

数年前に鉄人社から刊行された『ホス狂い』というルポを書くための取材で、幾度かホストクラブに足を運んだり、初回を体験したり、ホストをやっている男性を紹介してもらって話を聞いたりはしたものの、わたし個人としてはホストクラブはプライベートで自腹を切ってまで行きたいところではないなぁというのが結論でした。だって取材した女の子たちの口からは、何百万どころか何千万使ったとか、担当に殴られてようやく決別する気持ちになれたとか、通うお金を稼ぐために大学を辞めてソープで働き始めたとか、そういう話ばっかり出てくるわけで、そんな話を聞いてなお「わたしも担当欲しい~」という気概はないし、そもそも若いイケメンと金を出してまで飲みたいという欲望がほとんどない。

ところがその後、猫町倶楽部という読書会が、ホストクラブをはじめとして美容室など20数軒を構えているSmappa! Groupとコラボして、ホストクラブでホストたちと同じ卓で課題本の感想を語り合う『文化系ホストクラブ』という読書会を月一で主催するようになり、そこに度々参加するうちに、グループ代表の手塚マキさんや、幾人かのホストとすっかり顔見知りに。それでもってXやインスタなんかでつながると、だんだんそれぞれの人となりが見えてきて、好感を抱きだし……っていまさら沼に足をつっ込もうとしているのかって話ですけど、ちょっと言い訳させていただくと、Smappa! Groupってホストたちの文化的な教育に力を注いでいて、それこそ読書会以外にも歌会をしたり、ワインソムリエの資格を取らせたり、さらには日本舞踊のお稽古の機会まで設けている。でもって作った短歌だとか日舞のお稽古に勤しんでいる画像なんかが目に入ると才能があるなぁとか、頑張ってるなぁとか感心するではないですか。

ホストたちが日本舞踊?

とはいうもののしがないモノカキであるわたしには、ホストクラブはなかなかに高価な遊びであることも確か。なので日々のSNSの投稿を楽しませていただくくらいに留めていたんですが、ある日Smappa! Groupのホストたちが舞う、日本舞踊の発表会が開かれるという告知を発見。これは行くしか!ということでさっそくチケットを手配することにしたのでした。

『「好色一代男」日本舞踊 山村流 舞ざらえ 第1回』が開かれたのは、新宿歌舞伎町のライオンズプラザの中にあるSmappa! Groupの新宿歌舞伎町能舞台。なぜそんなところに能舞台はあるのか謎すぎるし、なぜその能舞台を所有しているのかも謎というのはさておいて、わたしは日本舞踊を観るのは初めてで素養ゼロ。高尚っぽすぎて楽しめるのかなという不安を抱きそうなものだけれども、今回の演者はホスト。イケメンたちが踊る姿を見るのは眼福であることは間違いなく、むしろ日本舞踊を観ることへのハードルをさげてくれている。