なんという論理の飛躍!お世辞を本気にした「股間見せつけ男」/中川淳一郎

2回前に「金玉子」「チン皮むき子」というあだ名をつけられた女性・明日香さんの話を書いた。先日、「ニノミヤさーん!」という女性の声がしたのでキョロキョロとしていたら、介護施設の営業車に乗る彼女が車の窓を開け、こちらに手を振った。そして颯爽とその場から去って行ったのだが、快活な人だなァ、という感想を改めて抱いた。

金玉子は高校時代の野球部マネージャー経験の際、野球のボールが金玉に当たった隣のサッカー部員の手当をすべく、冷却スプレーを金玉にかけたことに由来する。チン皮むき子は、かんとん包茎の80歳男性の包皮をむいて、先端をきれいにしようと必死に皮をむこうとしたら男性が射精をしてしまったことに由来する。

そんな彼女は恐らく男性から安心感を持たれる人物なのだろう。果たしてこれが得する人生なのかどうかといえば、「※もしも好みの男からそう思われれば」ということになる。だが、明日香さんは決してそのような男運を持っているわけではなさそうだ。

リップサービスを誤解する男

「ねぇねぇ、私のエロ話、まだありますよ~」と聞かされたのは「勃起見せつけ男」の話である。この名称を聞いただけで不穏な空気を感じたが、明日香さんが20代の頃、30代だったこの男は看護師だった明日香さんになついていた。イメクラでは、男が女医や女性看護師に甘えるというプレイがある。それをこの男はリアルでやっていたのである。

何しろ、興奮しながら「明日香さぁぁぁぁぁんんん!!!!」と駆け寄って来て「どうしましたか?」と聞くと「勃起しました!」とその股間を見せつけてくるのである。そんな元気なのならばお前はさっさと退院せぇ! というツッコミを内心しながらも、「うわー、立派ですね」やら「お元気そうでなによりです!」と心にもないことを言う明日香さん。

一度このような対応をされると男は喜んでしまうのだが、問題は、明日香さんがこの男のことが好きなのでは、と誤解されてしまうことである。あくまでもリップサービスや、看護師として患者の元気の良さを喜んでいるだけなのに、男からすると「明日香さんはオレのチンコのことが好きなんだ」と勝手に脳内変換してしまうのである。退院後、検査のために来院した男から明日香さんはこう誘われた。

「入院中、本当にお世話になりました。感謝の会を開催したいので、明日香さん、来ていただけませんでしょうか?