明日香さんと二人きりになると
明日香さんは「そうしましたら、担当したヒロコも誘いますので」と伝え、とある日に3人での会食となった。男は若干不満げな表情を浮かべたが、とにかくこの勃起男から何をされるか分からない。同僚のヒロコさんをなんとか誘い出し「多分おごってくれるから!」と納得させてその日の会食へ。男はピザ屋を予約してくれていたのだが、ひたすら自分の話ばかりをする。あぁ、入院中と同じだ、と二人ともうんざりしていた。
男がトイレに行くと明日香さんとヒロコさんは「どうしようもない会でごめんね」「いいよ、しょうがないよ」などとやり取りをしていたのだが、ヒロコさんがトイレへ行き、問題は明日香さんと男だけになった時だ。男はこう言った。
「明日香さん、ボクのチンコを立派、と言ってくれましたね。この後ヒロコさんを帰してラブホに行きませんか!」
なんという論理の飛躍! 明日香さんはあまりにも想定外の展開に戸惑い、まごまごとしたが、男はこの仕草こそ、「オレのことを好きな証拠」だと解釈。「ぜひ行きましょう! 立派なモノ、見せます!」と大喜びである。
勘違い男から逃げるため…
「えぇと~、患者さんとそういうことになることはできません」と言うと、「でも、ボクの友達、入院中に出会った看護師と付き合ってますよ? 明日香さんの病院だってそういうことありますよね?」と言う。そうこうしているうちに、明日香さんもトイレへ行き、同僚に「頼むから5分後に私に電話して、急に病院に行かなくてはいけなくなった、という演技をして!」と電話で頼んだ。
席に戻ると男はニコニコしている。もう、ラブホテルに誘うことに合意してくれたと思っているのである。その数分後、わざと着信音が鳴るようにしていた明日香さんの電話が鳴った。「はい、はい、えーっ! は、はい、すぐ行きます!」と言い、男には急患で人手が足りなくて病院に行かないといけない旨を伝え、会計をすることになった。
男はブスッとしながらも「だったら仕方ないですね」と言った後に「じゃあ、会計は一人4930円です。僕が端数の差額の24円は払っておきます」と言った。勃起能力は大したものだったものの、発射能力(カネ払い)はそれほどではない男だったようだ。
Text/中川淳一郎
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