恋愛の世紀末を実感できる出来事はあるのか?

 そんなニーズを知って調子づいた人妻が、「そろそろオイタしてる場合じゃない……」と思うひとつの原因といえば、なんといっても妊娠だと思う。
妊娠が恋を必要となくするキッカケとなるのは、「そんなことをしている場合ではない」という状況の変化と、責任感によるものだと思うが、腹に自分の子供がいるというのに、それでも子種の持ち主以外の男と寝る女というのも存在しないわけではない。

 以前有名なナンパ師を取材した際、「先週、ネットカフェに連れ込んでヤった女は、腹ぼてで。旦那が『妊娠中にセックスは無理』ってしてくれないとかで、欲求不満だったらしいっすよ」と少し呆れたふうに語っていた。

 妊娠以外に、なにか自らに、恋愛世紀末が訪れたことが実感できる、人からすればほんの些細な変化はないだろうか……と散々考えた末、思い当ったのが、それは「陰毛に白髪を見つけた時」ではないだろうか、ということだ。
わたしはまだ幸いなところ、一本も発見したことはないが、しかし相当にショックを受けるであろうことは、容易に想像が出来る。「ああ、いよいよ浮ついた生活からは、引退か……」くらいは思いそうである。

 いくらきちんと化粧をしてヘアサロンで髪を整え、ジムに通ってスタイルを保っても、年々、老化するのは防ぎようがない。
しかし、化粧や髪を綺麗にしておくことはアンチエイジングではなく身嗜みで、ジムに通うのは健康維持とも言えるから、老化に対するメンテナンスという意識なく出来る。が、陰毛の白髪を染めるとなれば、これはもう、誰がどういっても、「年に抗う行為」としか言いようがない。

 別に抗うことが悪いわけというではないが、風呂場で陰毛を白髪染めしている自分の姿を想像すると、なんとなく悲しい気持ちになってしまう。
いよいよその時が来れば、自らに恋愛世紀末が訪れたことを認めることが出来るのではないか……と思ったが、しかし、今はVIOすべてをハイジニーナに処理するという手もある。さすれば白髪は問題にならない。

 そういうことを考えると、やはり恋愛から逃れるためには「わたしはもう降りた」と決めるしかないようである。

…次回は《「2年付き合ったら結婚しよう」できない約束をする男はクズだ》をお届けします。

Text/大泉りか