いまから15年前のゴールデンウィーク。わたしは西川口テアトルミュージックというストリップ劇場のステージに立っていました。20代前半の頃、ピンクローターズというエロユニットを組んで、共にステージにあがっていたストリッパー栗鳥巣ちゃんが『定本栗鳥巣』という同人誌を制作。その発売記念イベントを行うにあたり、ピンクローターズ一日限りの復活と銘打って、当時のメンバーでキャットファイトショーをしたいということで駆り出され、ひさしぶりにリングネーム・ゴールデンパピヨンリカとして、ステージ上で、火を吐く愛欲の闘争(C)中野貴雄 を繰り広げていたのでした。
が、その頃にわたしが身を投じていた愛欲の闘争は、ステージの上だけではありませんでした。5月末、当時付き合っていた恋人との結婚を控え、お披露目パーティーの準備をしつつも強烈なマリッジブルーの襲われていたわたしは、どうしたことか、引き出物代わりのトートバッグのデザインを頼んだ知人男性とうっかり肉体関係を持ってしまったのです。
浮気を正当化はできないけれど…
浮気の言い訳を連ねても仕方がないけれど、一応は釈明させていただくと、最初に結婚したいと言い出したのは恋人だったはずなのに、具体的な話になるとまったくなにもしてくれず、会場のブッキングから招待状の手配、余興の準備、司会者との打ち合わせ、そして引き出物の制作進行まで、すべてわたしひとりでやっている状況で、「なんでわたしだけ……」と精神的にも肉体的にも困憊していた。が、港湾労働者だった当時の恋人は、朝は早く夜も遅く、一日屋外で立ちっぱなしの仕事で休みは日曜日だけ。それに比べてわたしは朝起きて釣りに行き、釣れないボーイ……とぼやきながら昼頃に家に帰り、「すっころんでおパンツが丸見えになってしまってイヤーン!」みたいなのんき極まったライトノベルを執筆し、原稿に詰まったらオナニーをして、日が暮れたらビールを飲むというような、のんべんだらりとした生活を送っていた。なんだか「わたしばっかり楽ですみませんね」という負い目のようなものを感じていて、彼が時間も体力も余裕がなくてできないというのならば、やったりますよという心持ちだったのだ。
恋人とはセックスレスでもあったし、いま思えばモラハラ男でもあった。しかしどれだけ言い訳を連ねても結婚を間近に控えた立場で浮気したことを正当化はできません。が、どうにかして正当化……というか、自分の中にある筋を通したかったわたしは、結婚パーティーの後、恋人に「好きな人ができた」と告げて入籍はせず、半年ほど散々揉めてなんとか別れた。そしてすぐに引き出物のデザインをしてくれた男性と一緒に住み始め、3年後の秋に入籍をしたのでした。
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