離婚しそうな私が離婚してない理由/59番目のマリアージュ

離婚しそうな私が離婚してない理由/59番目のマリアージュ

 先日、広告会社時代の同窓会的な集まりに参加した。

 ひさびさに元上司や先輩たちと再会したのだが、その約半数が離婚経験者だった。私のいたテーブルは私以外全員バツイチで「えっ、離婚してないの?すごい!なんで?」と言われた。

 なんで?

 そこで「なんで私は離婚してないんだろう?」と考えたのだが、一番の理由は「夫が私に何も押しつけないから」だろう。

 私は夫に「これをしろ」「あれはするな」と言われたことが一度もない。「女とは、妻とはこうあるべき」と押しつけられたことも一度もない。

「えっ、離婚してないの?」と驚かれたのは、私がいかにも離婚しそうな女だったからだ。

 20代の私は松屋なみの回転率で、誰と付き合っても長続きせず、「なぜ自分は結婚できないの?前世で墓に放火とかしたのか…?」と嘆いていた。

 私が結婚できなかったのは、夫と出会ってなかったからだ。私は夫じゃなければ一緒に暮らせなかったし、夫以外と結婚しても離婚していたと思う。

 先日、女友達と飲んだ時に「さて問題です」と以下の出題をされた。

「お父さんと息子が交通事故にあって、お父さんは死亡しました。息子が搬送された病院には世界的権威のある外科医がいたけど、その外科医は『自分は冷静に手術できない、なぜならこの子は自分の子どもだから』と言いました。お父さんは死んでしまったのに、どういうことでしょう?」

 皆さんはどう答えるだろうか?あんまり深く考えず、パッと答えてみてほしい。

 私は「うーん、生物学上の父親と育ての父親がいるとか?」と答えた。

 すると友人は「その外科医はお母さんだったから」。

 それを聞いて「ジェンダーバイアス…グハッ」と吐血した。これは「世界的権威のある外科医=男性だろう」と無意識に考えるジェンダーバイアスを問う質問なのだ。

 友人は大企業の管理職なのだが「私も『同性婚で父親が2人いる?』と答えて、外科医は男性という前提で考えてしまった…自分は会社でずっと性差別と闘ってきたのに…グハッ」と吐血していた。

 その夜、帰宅して夫に出題すると「その医者はお母さんだから」と即答。それを聞いて「キミはジェンダーバイアスがないんだなあ」と感心すると、

夫「いや、この問題は『父親が死んでるなら残ってるのは母親』と推測できる。本当にジェンダーバイアスがないのは『片親は世界的な外科医で片親は看護師』と聞いた時に『どっちが父親でどっちが母親かな?』と本気で考える人だ。だが現実の社会は『父親は世界的な外科医で母親は看護師』の夫婦が逆パターンより圧倒的に多いから、無意識にそれが普通だと考えてしまう」

アル「おまえ100点やないか」

 ジェンダーの本など1行も読んだことがないのに、さらっとこんな発言をする夫。「そういうとこやぞ」と思った。だから私はこの人と結婚したんだったな、と。