現実的な面でも考えてみる

その他にも、感情だけで決められそうにないのなら、もう少し現実的な面でも考えてみてはいかがでしょう。
たしかに、遠征費がかからないという視点では関東圏への移住はメリットですが、いざ住むとなると単純に考えて家賃は北海道の倍かかります。
家賃を抑えるために都心から少し離れた郊外で……と検討したとしても、ドアtoドアで片道1時間半、立ちっぱなしで電車通勤なんてのはザラでしょう。今とはガラリと変わった生活を送りながら推し活の時間を満足に取れるのか、という部分も一度想像してみてもいいかもしれません。

わたしが北海道に住んでいる理由として、人間関係とは別に、人混みが好きじゃない、選択肢が多すぎると疲れる、建物同士に距離があって日当たりのいい部屋に住みたい、野菜や米など安くておいしいものをたらふく食べたい、といったものもあります。
友達と推しどっちを優先するかだけでなく、そういった観点でも今回の件を捉えてみてはいかがでしょうか。「ずっと都会への憧れがあった! 車の運転が苦手だし便利なところに住みたいな!」となれば移住に向けて、「自然も大好きなんだよな、あと暑いのもジメジメしたのもほんとうに苦手だし……」となれば今の場所に留まる後押しになるのではないでしょうか。

また、普段どんな風に推し活を楽しんでいるかも、改めて考えることをおすすめします。一人でじっくり楽しむのが好きなのか、それとも仲のいい友達に推しの話を聞いてもらう時間込みで楽しんでいるのか。こういったことも、判断材料になると思いますよ。

ひとつ頭に入れておいてほしいのは、わたしたちファンは推しからの供給を受け取るしかないということ。
推しにだって人生があり、芸能界の事情はわたしたち一般人にはわからない部分も多いでしょう。こんなこと考えたくもないですが……突然公式からの供給がなくなる可能性は常に孕んでいるのです。
そうなったときに、今の土地に留まる選択をしたからこそ存分に推せなかったことに後悔が残るのか、推すために引っ越したのに無駄になってしまったと虚無感に襲われるのか。そういった未来も、想像してみてもいいかもしれません。

「わたしがあなたの立場だったら引っ越しはしない」とお話しさせていただきましたが、金銭的なことや環境の変化を全て乗り越えられそうで、友達の存在だけが後ろ髪を引かれる……というのであれば、期間限定で移住してみてはいかがでしょうか。
もちろん、お金も労力もかかり、とても大変だとは思います。1年でも3年でも5年でも現時点で期間をあらかじめ決めておいて、可能ならば実家に荷物を預かっておいてもらい、身ひとつと推しグッズだけ携えて、家具家電完備のシェアハウスに住んでみるとか。
その間に、推しの活動が全国区になり関東圏に住む必要がなくなっているかもしれませんし、あなたの推しへの熱が冷めているかもしれません。案外移住先での生活が楽しくて推しの存在なしでもその暮らしが気に入るかもしれませんし、推しへの愛が変わらなくても北海道に帰りたい気持ちが大きくなっているかもしれません。推しとは関係なく、地元の友達が全国に散り散りに引っ越して北海道に住む理由がなくなっているかもしれません。いろんな可能性があるはずです。

最初にお話ししたように、一生付き合っていきたいと思える友達はほんとうに貴重な存在ですから、離れている期間もその関係性が持続する努力をし続ける必要はあります。これほどまで悩む理由になっている存在なのですから、きっとあなたにはそれができるではないでしょうか。

わたしは北海道を一度離れて戻ってきた身ですが、一つも無駄ではなかった、いい経験をしたな、と今でも思っています。一度離れたからこそ、昔からの友達の存在のありがたさをより一層感じられるようになったのかもしれません。
そして一時期暮らしていた土地でも、一生の友達ができました。それほど頻繁に連絡を取り合うわけではありませんが、互いの節目を重んじた信頼できる関係で、彼らに会いたいから、と行動する理由にもなっています。とても大切な存在で、近くに住んでいる友達とは、これもまた別枠です。
知らない土地に引っ越すことは、そういった感情を持てるというメリットもあるのではないでしょうか。

一旦引っ越してしまえばもう二度と帰ってこられない、なんて思い込まないでくださいね。大変っていったって、大変なだけで、絶対にできないわけじゃない。いつだって、わたしたちは好きな場所で、好きなことをしていいのです。
はっきりと答えが出せなくてごめんなさい。でもね、選べないくらい大切な存在があるあなたは、とても幸せなんだなとうれしく思います。

Text/ものすごい愛
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