理想と現実は違う

こうやって、色々な暮らし方が許容される社会になっていけばいいんですけどね。人生って異性と結婚して子どもを産んで家族と生活していくことだけが正義じゃないはずだし。

いいな~と確かに私も思うんですよ。ひとり暮らしって単純に飽きてくるし、構成メンバーは自分ひとりだからこそ予想を超えてくる出来事って何も起きないじゃないですか。それは安定とも言えるかもしれないけれど、うんざりする瞬間がある。結婚という選択ができないとなるとこの先ずっとひとりで暮らしていく可能性が高く、それはなんだか味気ない。もうちょっと何かあってもいい気がする。そう考えると、やっぱりちょっといいな~やってみてもいいのかもな~って思うんですよね。

そういう気持ちはありつつも、やっぱり誰かと生活をともにすること、同じ空間にい続けることって私には向いていないんだろうなともしみじみ考える。今までさんざん人と関わることを怠ってきた人間が、将来が不安だからとか生活がワンパターンだからという理由で、他者を巻き込んでいいのだろうか。そんな相手いないのに、勝手に罪悪感が湧いてくる。誰かに期待したり失望されたりすることにも、ほとほと疲れてしまった。誰かがすぐそばにいて、自分の言動で生活や価値観を変えてしまう恐怖みたいなものもある。何年も何十年も生活を共にできる人ってどのような基準を持って探せばいいんだろう(まあ、これは結婚生活にも言えることではあるが)。

そもそも、自分と同じだけの金銭感覚を持っていて、趣味や時間の使い方が同じで、私のような欠点だらけの人間を受け入れてくれる人が周りにいるのか……いやー、いないですよね。いない!! 全然いない! ここまで考えると大体目が覚め、現実が見えてくる。きっと無理なんだろうな。私も私で、結局誰かを許したりできない。

理想と現実って、全然違う。きっと私はひとり暮らしに飽き飽きしつつも、多分この先もひとりで暮らし続けるんだろうなとなんとなく思う。誰も傷つけたくないし、傷つけられたくないのかもしれない。もっと年齢を重ねたら、周囲のあらゆる人に対して優しくなれるのだろうか。

TEXT/あたそ