ドバイの豪華な夕食で思い出す「川崎の某ソープランドに訪れたこと」

夫とドバイ旅行をした際に困ったのは、どこで夕食を取るかということでした。ドバイは戒律で酒を禁止しているイスラム教が国教のため、そこらにある飲食店に入っても基本的にはメニューに酒はありません。外国人向けの店やホテルのバーなどには置いてあるけれど、わたしも夫も現地の人で混雑しているような店が好きなタイプでありながら、メシに酒は欠かせない。いったいどうすれば現地の雰囲気を味わいながら、酒を飲めるのか。さんざ悩んだ挙句、わたしが選んだのは砂漠のど真ん中にあるレストランで夕食を取ることでした。

そのレストランまではタクシーで、市街地から砂漠の中を延々と走って1時間ほどかかったと思います。真っ暗な砂漠の中に突如、ぽっかりと現れた明るい一区間。エキゾチックなランプが灯されたエントランスを抜けると、砂の上に敷いた絨毯の上に、テーブルや椅子が置かれ、それらを囲むようそれぞれ屋台があって、串で焼いた肉や、豆や茄子をペースト状にしたものや、シチューのようなものや、小麦粉を練って焼いたものなどが置かれている。それらのすべてが食べ放題でした。

ラクダがウロウロしているところといい、オウムを肩に乗せた男性が「一緒に写真を撮らないか」と営業してくるあたりといい、突如始まるおっぱいぷりんぷるんのベリーダンスといい、「現地の雰囲気」というよりも、むしろ「完全に作り込みまくった雰囲気」の店というのが正しいところでしたが、とにかくそのゴージャスさに息を飲みつつ、わたしが思い出していたのは、川崎の某ソープランドでした。

わたしが某ソープランドを訪れた理由

ソープランドという場所に、一度だけ足を踏み入れたことがあります。あれはSMクラブに在籍していた当時のことでした。あるときスタッフに「川崎の某ソープランドに、縛れる子を派遣することになったから協力お願いできる?」と頼まれたのです。どういうことか詳しく聞くと、「川崎の某ソープランドで、緊縛プレイのオプションを入れようということになったから、専用の縛り手が必要だということで業務提携することになった」という。そんなもの、ソープ嬢が縛るか、客に縛ってもらえばいいのでは、と思ったものの、スタッフいわく「ソープの子たちは縛ったりはしないし、客にも縛らせない」のだと。本番はするけれども客を縛りも縛らせもしない風俗嬢、本番はしないけれども鞭で打たれ浣腸は受け入れる風俗嬢。ひとそれぞれに「したくないこと」「したいこと」「できること」がある。

「これ、行ったらそのままソープ嬢として働かせられるパターンじゃないよね……」と若干の不安を抱きながらも向かった先は堀之内。四方八方、どこを見回してもソープランドという、ザ・風俗街に降り立ったわたしと同僚のSM嬢は「なんだかすごいところに来ちまった」と臆しながらも、スタッフに連れられてソープランドの中に足を踏み入れたのでした。