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  • 2016.07.02

私にキャバクラを辞めさせた「女性らしい女性」という刷り込み

あまりに“普通”だったキャバクラのバイト。けれども、「人生を変える劇的ななにか」が訪れるのをどこかで期待して、バイトを継続していた大泉さん。とうとう辞めるきっかけになったのは、「悪い癖」で好きになってしまった彼氏の束縛でした。

“普通”なキャバクラバイトで劇的ななにかを待っていた

大泉りか 人妻は不倫の夢を見るか?
©Valentin Ottone

 キャバクラでアルバイトをして、わたしが知ったことと言えば、「自分はあんまりモテない」ということでした。
しかし、お店に来る男性客たちに「モテたい」という欲はなかったし、稼ぎも最低限の時給だけ貰えればいいと思っていたので、あまり気にせず、「たまには同伴しろ」だとか「指名を取ってよ」だとかフロアの男性に注意されつつも、『ヘルプ』と呼ばれる週2日~3日くらいの出勤で、気楽にキャバ嬢を続けていました。

 しかし、キャバクラのバイトはあまり“普通”でした。高校時代に受けた、デートクラブや援助交際やブルセラの洗礼。
それに比べると、キャバクラのバイトは、一応、親には秘密にしていたものの、あまりに刺激が少なく感じました。

 といっても、それはわたしの実力のせいもあったと思います。
店は違いましたが、やはりキャバクラでアルバイトをしている同級生のひとりに、水商売が天職といってもいいほどに向いている友達がいました。彼女も、大学入学と同時にキャバクラに勤め始め、夏が来るまでには、余裕で店の上位に売り上げを叩き出し、あっという間に時給は一万円オーバー。
当然、そんな彼女につく客は、なんとかコンサルティングやら、なんとかプロデューサーやらと、得体のしれない金持ちがわんさか。同伴やらアフターやら貢物やらで、あっと今に別世界に行ってしまったように見える彼女を見て、「羨ましい」と思ったのは事実です。

 贅沢な世界が観れて羨ましいというのももちろんありましたが、それ以上に、自分の力だけでは知ることの出来ない世界に触れられることを羨む気持ちが強かった。スタートは同じはずなのに、結果、得ることが出来ているものはまるで違う。
これが世の中の道理であると理解しながらも、それでも、自分にもいつか「人生を変える劇的ななにかが訪れるのではないか」と、どこかで期待しながら、わたしは最低時給のホステスを続けていたのです。

“女性らしい女性”を求めて束縛する彼氏

 学業と並行しつつ、おおよそ1年くらいは夜の蝶として夜の街に出ていたと思います。キャバクラ勤めがしっくりくるとは思えなかったけど、大きな不満もなかったわたしが、バイトを辞めることにしたのは、彼氏が出来たからでした。

 その相手は、友人の中学時代の同級生で、ほぼわたしと地元も同じ人でした。地元で開かれた飲み会で知り合い、なんとなく連絡先を交換して数回デートを重ねた後、付き合うに至ったのですが、この彼が、非常に束縛心の強い男性でした。
そして束縛心の強い男性のよくある特徴ですが、「自分は束縛しているつもりなんてない」と思い込んでることが厄介でした。

 この彼の束縛の根底にあるのは、“女性たるものは”という価値観でした。専業主婦のお母さまのことをとても誇りに思っていて、「女性は落ち着いて、しっかりと家を守るもの」だという前提があり、そんな彼の考える“女性らしい女性”とは、「家庭内で、生活を向上させる作業をすることを愛する女性」。簡単にかみ砕いていうと、ようは洗濯・掃除・食事の支度・縫物などを、心から喜びを持ってすることが出来る女性なのでした。

 なぜそんな男を好きになった……と思うかもしれませんが、これはおそらくわたしの病気というか、悪い癖なんだと思います。成長する過程で両親の教えや取り巻く環境から受けた「常識的であれ」という刷り込みが、時折「自由に生きたい」と思っている自分をぐらぐらと揺り動かす。
「恥ずかしいことはするな」「みっともない真似はやめろ」「女というものはそもそも」という外圧に反発しながらも、そういう、旧来的な価値観を持っている人を自ら近くに置いてしまうのです。そして「わたしって大丈夫ですかね」と問う。もちろん帰ってくるのは「大間違いだ」という答えです。

「わたし、夜のアルバイトしてるんだけど」「彼氏が出来たっていうのに、辞めないの?」
こうして、キャバクラを辞め、近所の喫茶店でバイトを始めたわたしは、すっかり家に閉じこもるようになったのでした。二十歳のその頃でした。

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Text/大泉りか

次回は《痴漢にあっても私のせい?彼氏の言いなりになっていた日々》です。

ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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