後日、これを友達に話すとビックリされた。
「車椅子のことも、HIV陽性だってことも、デートの日まで隠すなんて非常識だ!」
そう憤る彼の気持ちも理解できたが、同意まではできなかった。

 出会いがインスタントに成り立つ現代に生きる人々は、自分が出会いたい人を簡単に指定できるようになった。
「体鍛えてる人募集中」とか「小柄な人が好み」とか「巨根しか相手にしません」とか、インターネットの向こうにいる人々をフィルターする行為は決して珍しくはない。誰かに出会う前から頭の中で勝手に相手のイメージを思い描いて、それにそっくりな人を見つけ出すことだって不可能ではなくなった。
便利になったといえば聞こえはいいかもしれないけれど、本当にこれでいいのだろうか。

 いつか、イケメンゲイに学ぶ出会い系サイトでモテる方法という類の記事を読んでいたら、アドバイスが「ありのままの自分を晒せ」だった。
たしかに一理ある。詐欺写でいくらルックスをごまかしても、プロフィールでいくらサバを読んでも、出会えば結局バレてしまう。すべて晒して真正面から向き合えばお互いの時間を節約できる。

 しかし、すべてを晒して誰にも相手にされない場合はどうすればいいのか。五体満足でルックスに恵まれたイケメンゲイがありのままの自分を晒すのと、そうではない人が晒すのでは勝手が違う。