夫が一番愛する暖房器具

そして付き合って最初の冬。というかやっとそろそろ秋っていえるよねーくらいのある日。恐れていたことが起こります。
夫の運転する車に乗っていたときのことでした。夫は「足が寒い」と、車のエアコンを点け、暖房に切り替えたのです。まじかおい、まだ10月やぞ。暑がりの私は戦慄しました。
しかも最悪なことに、夫の一番愛する暖房器具(エアコンの暖房)は、私が最も苦手とするものだったのです。

夏にはあんなに愛し、依存し、酷使していたエアコンですが暖房となると話は別です。私は暖房の風に長時間あたっていると、顔のほてりと頭痛と吐き気に襲われます。
しかし夫は全くそうならないようで「部屋を効率的に暖めるにはエアコンの暖房が一番適している」と言います。私の体質には適していません!と叫びたい気持ちを堪え(いや何回かキレて叫んだかもしれない)、エアコンの暖房は体調が悪くなることを訴えました。

交渉と説得の結果、日中は小さな電気ストーブとホットカーペット、就寝時は彼に電気毛布を二枚支給することで凌いでもらうことになりました。
ていうか就寝時ってエアコンで暖房つけるもの……? 顔と喉カッピカピにならない……?

元々かなり理屈っぽい性質を持つ我々二人は、夏冬に直面した体感温度差問題についてなんとか話し合いで解決してきました。
しかしいかんせん「お互いにとって快適な気温」という肌感覚が唯一の頼りであるため、夫の得意な「明確なデータに基づいた理論展開」が難しく、なかなか話し合いは難航しました。エアコンの使用時間や、使う暖房器具の種類を変えるなどして一応の落としどころは見つかったものの、なんとなく「常に自分の心地よい気温ではない」ということがストレスになっていることは確かで、二人して「果たしてこれは“解決した”といえるのか?」という疑問を抱えていました。

結婚して一年が経ち、同じ家に住むようになってからもそれはあんまり変わっていません。
我が家は寝室にシングルベッドを二台くっつけて置いているのですが、半同棲時と同じように夫が冬パジャマに布団という装備で就寝時にエアコンを朝までつけていたら、一週間も経たずに夫は風邪をひきました(まじかよ……)。

なので対策として、結婚一年目にして夏場は寝室を分けることにしました。
私は寝室でエアコンをフル稼働、夫は和室に布団を敷いて窓全開・扇風機使用というスタイルです。寝室を分けることへの寂しさはありますが、健康を害していては元も子もありません。

冬は夫の好きなエアコンの暖房ではなく主に灯油のストーブを使い、エアコンの暖房は夫の部屋でのみ使用可としました。就寝時は夫に電気毛布を二枚、冬用布団も二枚で対策してもらっています。が、夫は「顔が寒い」「目が冷たくて調子が悪い」と、最近は防寒目的でアイマスクをして寝ています。目が冷たい……とは……?

特に冬場は「私の体感温度に無理に合わせてしまっている」というちょっとした罪悪感と、「どう考えてもそこまで寒くはないやろ(怒)」というちょっとした苛立ちを覚えます。体感温度というものは、それぞれ自分でしか分からない感覚なので、文句を言うつもりはないのですが「話し合いでの擦り合わせ」が難しい部類の問題かもしれないな、と思います。

そういえば我が家は医師の診断済みADHDの私と、アスペルガー傾向のある夫という、二人ともが発達障害の夫婦なので、もしかしたらここまで体感温度が違うのは何かしらの感覚過敏症状なのかもしれません。

現状このようになんとか落としどころを見つけてはいるのですが、なんとなくモヤ~としたものを抱えたままですが、とりあえず今は一日も早く暖かくなってくれることを祈るばかりです。しかし暖かくなったらなったで、今度は花粉症の夫が悩まされることになるのですが。

次回は<自意識過剰?いや、どう考えてもこわい「ナンパ被害」の話>です。
世の中には「ナンパされる=モテている」という図式に当てはめる人が一定多数いるように感じます。しかし、見知らぬ人にいきなり声をかけられることに恐怖を覚える人は沢山いると思います。今回はみみこさんが実際に経験したナンパ被害をお話ししてくださいます。