二人が同じ方向を見なければ成立しない「今年の夫婦の目標」/カレー沢薫

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 あけましておめでとうございます。

 だが今年のことはどうでもいい、宜しくする必要すらない。それより去年の話だ。

 昨年末、みんな知らないかもしれないが「クリスマスイヴ」という日があり、恵比寿ガーデンプレイスにいた。そう書くとリア充の極みだが、もちろん仕事である。

 確かにイヴの恵比寿はすごかった、カップルの群衆地として図鑑に載せていいぐらいの惨状であり、仕事先から出て30秒で、カップルが抱き合っていた。

 それはハグではない、抱擁だった「こういうセット売りなんです」というぐらい、しっかりと抱き合っていたのだ。
時刻は午後6時。この時間からそんなに飛ばしていて体力が持つのだろうか、と思ったが彼らはもつのだろう。
いつもだったら、そういうカップルをいかにとんちを効かせて殺すか、で全文字数使うところだが、その時の私はそんなもには頓着していなかった。もっと大きな目的があったからだ。

 先日、最終回を迎えたアニメ「刀剣乱舞-花丸-」に長谷部(今年どころか世紀末まで言い続けるが、ゲーム刀剣乱舞に出てくるへし切長谷部というキャラクター)がうどんを作る神回があったのだが、それが最初から仕組まれていたかのように「はなまるうどん」とコラボし、限定で「長谷部のうどん」を出すと言うのだ。
言っておくが「長谷部が作ったという設定のうどん」ではない。「長谷部が作ったうどん」である。
「中の人などいない」と、同じ理屈だ。

 私のような地方民にとって、こういう限定モノは最初から「存在しないもの」と考えないとつらい。売られるのは都心の店舗ばかりだからだ。しかし今回は、ちょうどその期間中に仕事で上京するという僥倖があり、しかもクリスマスイヴ。行くしかない。

 だから、イルミネーション前で抱き合うカップルに遭遇しても、車内で若者たちが踊り狂いながら走っている謎のバスを見かけても、足取りはしっかりしていた。

 そして午後9時。私は長谷部がうどんを作って待っている店舗がある、池袋に舞い降りた。たどり着けるか不安なので、道案内として私の本などをデザインしてくれているデザイナーさん(男性)に同行してもらった。
池袋といえばオタク女の街というイメージがあるが、ちゃんとリア充スポットもあるらしく、人もカップルも多かった。しかし私はこれから長谷部のうどんを食うのだ。恐れる足らない。