いい話だと思ってたけど

子供の頃に絵本でこの物語に出会った私は、素直に「え〜話だわ〜」と感動を覚えたような記憶があるのですが、大人になって、というか、既婚者となって読み返してみると、頭に「?」マークが浮かびまくるのです。

なんなんだ、この謎物語は。そもそも健康で働いて慎ましく暮らしている二人が、なぜそんなにも貧しいのか。その貧しさの理由について、「貧しい勤め人で、その冬の景気はとくに悪く、給料が減った」以上に詳しく語られているバージョンを読んだことがないので、心のモヤリが止まりません。理由がわかれば解決策を案じることもできるのですが(余計なお世話か)、まぁ時代的な背景もありますし、既婚女性が収入を得ることが不可能だという設定なのでしょう。夫ひとりの少ない収入でなぜか夫婦が生計を立てようとしています。読んでるこっちがなんか不安になる。
そんな貧乏な二人が、なぜクリスマスにプレゼントを交換するのか。しかも、未分不相応とも言えるようなこんな高価な品物を。サプライズで。愛する相手を喜ばせたい、という気持ちはわかった。だがちょっと待て。それサプライズじゃないとダメだったのかよ。所有する唯一の物理的な“宝”を、なぜパートナーになんの相談もなしに換金しようとするのか。なぜ相手が欲しいものをちゃんとリサーチしないのか。この二人、めちゃくちゃ愛し合ってる、というわりには、コミュニケーション不足じゃない? そもそも、物をあげないと愛情って表現できないんだっけ?

貧乏ではないけれど、決して贅沢する余裕もないフリーターとフリーランス夫婦である我が家は、サプライズのプレゼントだけはしないようにしています。 どんなに親しい仲でも、「喜んでくれるはず」というエゴは禁物。好きな人から何をもらっても嬉しい、というのはファンタジーだと思ってます。いや、ほんとは何をもらっても嬉しいんだけど、相手が「喜ばせたい欲」を我慢してくれて、欲しいものをくれたらもっと嬉しいじゃん。本気で相手を喜ばせたいなら、リアルに欲しいものをちゃんと聞こうよ。

そんなわけで、私たち夫婦間のプレゼントは家電になりがち。ロマンチックのかけらもないけど、それが私たちなりの愛情表現なのです。

Text/ティナ助

次回は <ビッグカップルからの“卒婚“という高みからのお別れ発表>です。
及川光博さんと檀れいさん、元貴乃花親方と景子さん。ビッグカップル2組がこの冬、離婚しました。しかし2組のカップルのマスコミ向けコメントに「円満離婚」「卒婚」の文字が……。聞き慣れたようで聞き慣れないこの言葉、いったいどういう意味?