「結婚したいけど自分の好きに生きたい」自由と孤独は一つでセットです

結婚はしたいけど自分を変えるのは無理

社会人9年目の最近は仕事も適度に楽しくなり、趣味も充実してそれなりに幸せで平坦な人生を送っています。現状不満はないのですが、果たしてこれで良いのか? とふと我に返ることがあります。それは、主に結婚のこと。今まで恋人がいたことはあったけど、結婚の話が出ると相手からの「結婚したらこうしてほしい、ああしてほしい」が嫌になって別れる、というのを繰り返してきました。恋人のことは好きだし、一緒にいたいけれど、自分の性格やライフスタイルを大きく変えることに抵抗があります。
私は基本的に家事が嫌いです。子供も特に欲しくないし、面倒くさいので結婚式もやりたくありません。それは恋人にも言ってて、付き合っている間はそれでいいよ、と言ってくれるのに、結婚するとなると手のひらを返されることに納得できません。
結婚をするならお互いに譲歩し合わなければいけないのはわかりますが、家事をしないのも子供がほしくないのも結婚式を挙げたくないのも、皆「私が悪い」という前提で考え方を根本から覆そうとしてきます。そこまで私の人格を全否定されると、じゃあもう他の子と結婚したら? となってしまいます。私が結婚したい理由は、死ぬまで一緒にいてくれる人がほしい、ということだけです。私のために何かしてほしいとも思いません。その代わり、私は私の好きなように生きたいのです。私を「私」のままで受け入れてほしいと思うのは、わがままなのでしょうか。(27歳・女性)

シンプルそうだけど難しい条件

恋愛・結婚が億劫になってしまったというあなた。私が相談文で一番気になったのはあなたの結婚したい条件に「私の全てを受け入れてくる相手」「死ぬまで一緒にいてくれる人がほしい」と書いてあるところです。これはけっこう難しい要望だと私は思いました。なぜならこの二つは相反する要素だからです。

「私の全てを受け入れてくれる」=「ありのままの私」というのは「アナと雪の女王」以来、ものぐさ女子のテーマソングになっているような気がするのですが、あの歌の物語の中での意味をちゃんと考えていない人が多くて、残念に思っています。あの歌はエルサが自分の能力を解放する代わりに孤独を引き受けて、氷の城に籠るという歌です。つまり、「ありのまま」になる引き換えに孤独になって、「これでいいの」「少しも寒くない」という強がりを言う歌です。あの歌は人間関係が破綻したやけっぱちの歌です。

「ありのまま」というパワーワードがあるので、一見自己肯定のためのパワーソングだと思われがちですが違います。あの自己主張の強いアメリカで作られた「アナと雪の女王」でさえ、「ありのまま」は破綻を招くことを歌っているのです。ましてや協調性を求められる日本では「ありのまま」という条件は孤独をガッツリ引き受けない限り無理な話だと思います。