アニメーションってこんな表現ができるのか……。
天気、季節、恋。それらは人がどう抗っても変化し続けるもの。その日の気分によって景色がまるで変わってしまう経験は誰にでもあるでしょう。好きな人に褒められた喜びで雨が止む。嫌われた悲しみで雪が降る。ケンカをすれば豪雨になる。と、アニメは景色を自由自在に変えてくれます。
実写では表現できない恋愛描写を、あっさりと実現させてしまう映画がここにあります。
Makoto Shinkai/CoMix Wave Films
監督は『秒速5センチメートル』で国内外にて高い評価を得た新海誠。
男女の繊細な心の動きを鮮烈な色彩感覚で描き、痛いくらい心に染み入るセリフの量に圧巻です。
声の出演にタカオ役は入野自由、ユキノ役は花澤香菜を迎え入れ、現代の東京を舞台に万葉集にちなんだ“恋=孤悲(こい)”を描きます。
エンディングに鳴り響くのは秦基博による大江千里の名曲『Rain』のカバー。
まるで本作のためにあったのかと思えるほど、タカオとユキノの心情を丁寧に切り取る歌詞が印象的です。